部下に慕われる素敵な上司になりたい
「部長がさぁ~」というような切り出しから、上司の悪口や愚痴を言ったことがあるという人は多いものです。飲み会での定番ネタとなっていることも少なくない上司の悪口や愚痴ですが、いざ自分が出世し、上司の立場になったときにはたまったものではありません。普段から部下とも関係がよく、常に周囲から慕われる素敵な上司になりたいと思ったら、何を頑張っておくとよいのでしょうか。
理想の上司像のタイプはひとつではない
素敵な上司になりたいと思っていても、素敵に感じるのは自分ではなく部下たちですから、自分の「理想の上司」像を追い求めてもあまり意味はありません。巷でささやかれているような理想の上司を目指しても、自分の会社の中では相性が悪くて慕ってもらえない可能性もあります。
部下は上司を選べず、上司もまた部下を選ぶことはできません。そのため、与えられた環境にいかに適応していくかが大切なのであり、形作られたものを闇雲に目指す必要はありません。
「理想の上司像はひとつではない」と考え、あまり気負いすぎないことがまず大切です。その上で、職場の部下に求められる素敵な上司に必要な要素をひとつひとつ考え、それを身に着けられるように頑張ってみましょう。
素敵な上司のパターン
素敵な上司のイメージも人によって様々にありますので、まずいろんな例を見ながら自分の目指すべき方向を考えてみましょう。
仕事が超人的にできて頼れる人
上司はもちろん部下の多くよりも有能で仕事ができるからこそ上司に選ばれるのですが、上司は部下には見えないところで多くの仕事があったり、会議で時間を取られたりすることも多いために、その有能ぶりが目に見えないことも多いです。
だからこそ突き抜けて仕事面で有能ぶりを見せることができれば、「頼れるカッコイイ素敵な上司」という印象を与えることができます。仕事がよくできると、一緒に仕事をしている部下たちもその恩恵を受けて成績が向上し、査定や昇進などに良い影響が出ますので、多くの人に喜ばれます。
言葉がけが上手な人
部下を持つようになると、教育やチームビルディングといったマネジメントが大事な仕事になります。評価される上司ほどこうしたことが上手ですが、その秘密は「言葉がけ」にあります。心に響く良い言葉を多く知っている人や、厳しい言葉・励ましの言葉をよいタイミングでかけてくれる上司は素敵な上司だと感じる人が多いです。特に女性が求める素敵な上司には、こうした言葉がけが上手な人が多い傾向が見られます。
有言実行の人
言葉だけの上司には誰もついていきたくないものです。素敵な上司のひとつのタイプは、有言実行の人です。言葉で指示したり発表するだけでなく、それを実際に行動に移し、ひとつひとつの物事を進めたり変化させる姿を見て「さすが上司だ」と感心するものです。
似たようなものに「背中で語る」がありますが、今はどちらかと言うと何も言わないリーダーはコミュニケーションの上で問題とされがちですので、個人のポリシーは置いておいて有言実行を目指した方が良いでしょう。
品行方正で正義感のある人
理不尽な上司も多い中、良いことと悪いことをしっかり区別し、それをマナーを守りつつ周囲に浸透させてくれる上司は目立たないとしても信頼を集める素敵な上司と言えるでしょう。モラルやマナーがしっかりしている人が上にいると、それだけで部下も安心して仕事ができるのです。
逆にマナーがなく、出世した途端に偉ぶったり、パワハラやセクハラをしたりするようでは周囲からの評価が急降下することは避けられません。本来は自分でするべきことを部下に丸投げしてやらせるような人や、部下に失敗の責任を押し付ける人は人望を失いますので気を付けましょう。
ポジティブな人
上司がネガティブだと部下もネガティブになってしまうものです。逆にポジティブな上司が主導することで職場やチーム全体がポジティブになり、新しい試みなども成功しやすくなります。ポジティブなだけでは素敵な上司と言われることは難しいですが、素敵な上司の多くはポジティブという特徴を持っている傾向があります。ただし、動機づけという観点からは、ただポジティブなだけでなく、そのポジティブさの裏付けも常に持っておくことが大切です。
外見がカッコ良く見える人
素敵な上司だなと感じる場合には、実は外見も大きく影響しています。さすがに顔の造形などは変えるのが難しいですが、身なりや振る舞いなどを見るだけでもそのカッコ良さが伝わることで素敵な上司と感じられます。変に背伸びをするよりも、年齢や役職相応の風格を意識しましょう。
事務職などについている人の中では、「字がきれい」「仕事中の姿勢がきれい」といった部分を評価している人も多いです。個人から出てくる様々なものは、その人の人格などを表しますので仕事に対する姿勢ひとつひとつを大切にしましょう。
フランクな人
素敵な上司だと言われる人の中には、フランク(率直)な人も多いです。必要なことをしっかり言ってくれることはもちろんですが、感謝の言葉も役職の上下関係無くスラっと出てくる人に魅力を感じるという人も多いものです。逆に相手によって態度を変えたり、奥歯にものが挟まったような物言いをしたりする人はあまり好かれません。
素敵な上司になるためには
素敵な上司になりたいと思っていても、思うだけではなれません。実際に素敵な上司になるために行うべきことを紹介します。
1.常に自分を磨く
素敵な上司になりたいなら、どんな上司になるとしても、常に自分を磨くことは欠かせません。努力をしていない人は、その姿を毎日見ている部下たちにすぐ見抜かれますし、その言動にも変化がありません。若い部下たちは日々成長しますから、上司との実力差が縮まっていることを敏感に感じとります。若い部下に負けじと常に成長している上司は、部下たちにもすぐわかりますし、その姿を見て素敵に感じるものなのです。
2.周囲の上司の姿と反応をよく見ておく
上司の理想形は、社内の社員たちとの組み合わせによって決まってきます。「リーダーは環境が作る」と言いますが、そのリーダー(=上司)と環境(=周囲の社員)をよく見てみましょう。どういう人に対して周囲がどのような反応をしているのかを知ることができれば、自分がどのような上司になれば素敵に見えるのかわかるはずです。いざ上司になってしまうと生の声は拾いにくくなりますから、昇進する前によくチェックしておきましょう。
3.ビジネススキルを高める
事務処理能力や営業力、コミュニケーション能力に判断力など、ビジネススキルを高めておくことは素敵な上司になる上でとても大事です。仕事の上司ですから、何をおいても仕事で頼りにならないと周囲も認めてはくれません。自分のスキルが十分で余裕があってこそ、周囲を教えたりフォローしたりすることができます。
4.周囲とよく話す
どんなに実力と人格を備えていても、周囲の人と距離感を感じさせてしまうようなら素敵な上司とは評価されません。周囲と普段からよく話し、関係を近く作っておきつつ、必要なところに影響力を行使することができる人が上司として素敵に映りますし、相談もしやすいです。上司になってからではなく、その前からの積み重ねが大事ですし、上司になってからも対話を積み重ねていくことです。
5.立場をわきまえる
素敵な上司になりたい、素敵な上司でありたいと思うなら、自分の立場をわきまえることが肝心です。昇進して急に偉ぶったり、上司として決定する際に周囲に意見を求めすぎたりするようでは評価を落としてしまいます。自分の立場をよくわかったうえで、果たすべき役割を果たし、また近くするべきところは近くすることができる人が素敵な上司です。
素敵な上司になってもただの中間管理職
素敵な上司と評価されるようになったとしても、社内ではほとんどの役職は「中間管理職」であることに注意しておく必要があります。これはつまり、部下にとっては「素敵な上司」であったとしても、より上の上司から見れば良い役職者の姿ではないこともあるということです。
たとえば、部下たちの不満をよく聞いてあげ、それに共感してあげることは素敵な上司と評価されるかもしれませんが、部下の声に共感するあまり、企業の理念や方向性を見失ったり反対したりするようなら良い役職者の姿ではありません。
上司になっても、トップ以外は中間管理職ですから、自分の位置をよく理解した上で部下たちや上司たちと接していく必要があります。より出世をし、影響力を発揮するためには、部下たちからの評価ではなく上司たちから評価される必要がありますから、部下のことを意識しすぎて自分の評価を落とさないように注意する必要があります。
素敵な上司になるには期待される以上に自分を磨くしかない
素敵な上司になりたいと考えている人は、自分をしっかりと磨いて周囲の期待に応え、時には期待以上の人格やパフォーマンスを示す必要があります。
これは決して簡単なことではなく、一朝一夕でできることでもありません。誰もが認める人格と実力、そして社内人脈をしっかり作っていくためには、昇進する前からコツコツと下積みをしておくことが大切です。
いつ上司になっても、素敵な上司と評価されることができるように前もって頑張っておきましょう。すでに役職のある人も、手遅れとあきらめずに頑張りましょう。