上司から食事に誘われたときの基本的なマナー
上司との食事ではマナーが必要です。職場以外で深く話ができる貴重な機会ですので、マナーで失敗し上司の気分を害してしまうことはないようにしたいもの。食事前から食事後まで、何をすべきか、どんなところに気を付けたらよいか、食後のお礼メールなど上司との食事におけるマナーをまとめました。
上司から食事のお誘い!気をつけるべきマナーとは?
社会人になると、職場の上司や先輩から食事に誘われる機会があります。ランチやディナーにかかわらず、時間を割いてわざわざ食事に誘ってくれるということですから、上司の方は厚意を持ってお誘いしてくれていることでしょう。
もし、あなたが新入社員なら「これから宜しく!」、直属の部下なら「最近どう?困ったことはない?」という意味と考えられるでしょう。仕事のことで話がしたいケースもあります。ただ単に誰かとご飯を食べたい気持ちからだとしても、自分が嫌だと思う相手は選ばないでしょう。
自分を気にかけてくれる、しかも目上の相手に失礼なことはできません。今回はお誘いに対する答え方や行動マナー、食事後のお礼メールの送り方など上司との食事に関するマナーをご紹介します。
上司から食事に誘われたときはできるだけ受けるようにする
目上の方から食事に誘ってもらった場合、無理に予定を空ける必要はありませんが何もなければできるだけお誘いを受けるようにしましょう。当然ながらお誘いを受けたほうが印象は良くなります。自分の評価に影響する可能性を考えて、3回のうち1回は必ずお受けしましょう。
お誘いを受けるといっても、「はい、行きます」だけでは素っ気ないです。「ご一緒(お相伴)させていただきます」という基本的な返事の頭に、「喜んで」や「お言葉に甘えて」を付けると好印象です。ご厚意に対してありがたく思う気持ちを込めて、何か一言付け加えることを忘れないようにしましょう。
上司との食事中に注意したい行動マナー
上司と食事をする時は、同僚や友だちと食事をする時と同じようにするわけにはいきません。気を付けるべきマナーを7つのポイントに分けて紹介します。
1 席次はもちろん上司が上座、自分は下座
席次(せきじ)とは、ビジネスシーンの様々な場面で座席や立ち位置により相手を尊敬する気持ちをあらわすものです。出入り口から遠く、窓がある部屋の場合は景色がよく見える席が上座(かみざ)、出入り口に近い席が下座(しもざ)と呼ばれます。基本的に自分は下座に座り、目上の人を上座に案内します。
ただし、座席を指定されたりすすめられたりした場合は、席次にかかわらず指定された席に座りましょう。
2 食事の注文は上司に聞いてからにする
注文は積極的に聞きましょう。上司の行きつけのお店であれば、素直にお任せしても問題ありません。「好きなものを頼んでいい」と言われた場合は「こちらのメニューを頼んでも宜しいでしょうか?」、上司の方と同じメニューを選ぶのなら「同じものを注文しても宜しいですか?」など一言添えて頼むと好印象です。
自分の料理が出されても、上司の料理が出されるまで手をつけないでください。先に上司の料理が出された場合は「お先にどうぞ、召し上がってください」と促しましょう。
3 上司の飲み物の減り具合は時々気にする
上司のグラスの中身が3分の1程度になったとき、瓶ビールであれば「お注ぎしますか?」「いかがでしょうか?」とお酌を申し出ましょう。それ以外のお酒であれば「何か飲まれますか?」と率先して伺うとよいでしょう。お酒ごとのお酌の方法は次の通りです。
ビールの場合
- ラベルを上にして、右手で瓶の底を持つ
- 注ぎ口を左手で軽く支える
- グラスにつかないように注ぐ
注ぎ始めは泡を立てるようにし、徐々にゆっくり注ぎます。
お酌を受けるとき、グラスは傾けすぎず底に両手を添えましょう。
ワインの場合
- ラベルを上にして持つ
- 泡が立たないよう静かに注ぐ
基本的に自分でお酌をする必要はありません。接客係の方にお願いしましょう。注いでもらうグラスは持ち上げないのがマナーです。
日本酒の場合
- お銚子の中央を右手で持ち、左手を添える
- はじめは少量ずつ、徐々に多く、最後は少量注ぐ
- 盃の8分目まで注ぐ
盃がテーブルに乗っているときにお酌をするのは“置き注ぎ”といって失礼にあたります。必ず盃を手に持ってもらいましょう。
4 テーブルマナーは普段から磨いておくとGood!
フレンチレストランなど、テーブルマナーの知識が必要なお店に行く可能性もあります。普段から慣れていないと全てのマナーを守るのは難しいですが、ナイフやフォークの使い方など最低限のマナーは覚えておきましょう。
5 食事中の上司との会話は相槌を忘れずにうつ
上司の方がお話をしてくださっているときはしっかりと耳を傾けましょう。ところどころでレスポンスできると好印象です。上手く言葉を返せない人は、相づちを打ったり復唱したりするとよいでしょう。きっと相手には話を聞いていることが伝わるはずです。
職場の話の流れで、他の上司や同僚についての話題が出ることもあるでしょう。この場にいない人間の悪口を言ったりするのは絶対にダメです。同僚のプライベートなどについて聞かれる可能性もありますが、基本的にははっきりと答えないようにしてください。いくら仲が良くても他人のプライベートを勝手に明かすのは問題です。
6 上司との食事に息苦しさを感じたら離席してもいい
特に二人で食事している場合、上司の方がお話し好きであるとひたすら聞き役に徹しなければならなくなり、徐々に疲れも出てくるでしょう。だからといって疲れを表情に出してしまうと、相手は決していい気分ではありません。
どうしても耐えられなくなった場合は、一度席を立ち「お手洗いに行って参ります」と伝えて少し休むのもよいでしょう。
7 会計はとりあえず自分が伝票を持ちましょう
上司から食事のお誘いを受けた場合、基本的にお会計は上司の方が持ってくれるでしょう。あらかじめ店に行く前に「奢るから」と言われることもあります。
ただし、お会計の際は自分が伝票を持ち財布を取り出しましょう。ご馳走してもらえると分かっている状況でも“奢られて当たり前“という態度は失礼にあたります。上司が払うと言い出しても、一度は支払う姿勢を見せるのがマナーです。
大抵の場合は「いいよ、払わせて」と言われるか「〇〇円でいいよ」と少なめの額を提示されるでしょう。そのときは、頑なに断ることはしないでください。かえって失礼にあたります。上司のお言葉に甘え「ありがとうございます。ご馳走になります」と素直にお礼を言いましょう。
また、会計時に上司の手元をじっと見るのはやめましょう。少し離れた所で待ち、上司の後に店を出ます。店を出たら、再度「ご馳走になりました」とお礼の気持ちを伝えましょう。
上司との食事後に送るお礼メール
食事をご馳走になったら、その場でのお礼はもちろんのこと、お礼のメールを送ることも大切です。上司のなかには、お礼メールの内容で部下のチェックや評価を行う人もいます。“とりあえず送っただけ”というようなメールは送らないようにしましょう。
せっかく送るなら、上司や先輩に“また連れて行ってあげたい”と思わせるようなメールを送りたいところです。以下に、お礼メールの要点と例文を示します。
お礼メールの要点
お礼メールは当日中、遅くても翌日までには送りましょう。同じ職場の上司であれば、早くて翌日に顔を合わせます。直接会った場合にも必ずお礼を言いましょう。
メールの形式はビジネスメールの基本を押さえていればOKです。上司の方はお忙しいので、読むのに時間がかかるメールは避けてください。
【件名の書き方ポイント】
件名は簡潔に、メールの内容がわかるようにしましょう。【】(隅付き括弧)を利用し自分の名前を冒頭に入れると、誰からか一目で伝わるのでオススメです。「お食事のお礼」や「ご馳走していただきありがとうございました」など、食事のお礼メールだと一目でわかる言葉を入れると良いでしょう。
【本文の書き方ポイント】
本文は長くしすぎず簡潔にまとめましょう。最初にお礼を述べると伝わりやすいです。上司からのお話など具体的な内容に触れると気持ちがより伝わります。出来事をダラダラと並べて書くのはNGです。上司行きつけのお店であれば、お店や料理の感想を述べるのも良いでしょう。
上司との食事後に送るお礼メール例文
【営業部 鈴木】本日のお食事のお礼
山田部長
お疲れ様です。営業部の鈴木です。
本日はお食事に誘っていただき、ありがとうございました。
美味しいお料理を食べながら、仕事の相談に乗っていただいたり
普段は知ることの出来ない山田部長のプライベートのお話を伺ったりして、
本当に楽しい時間を過ごすことが出来ました。
貴重なお話を聞くことができた上、
すっかりご馳走になってしまい恐縮しております。
次回はぜひ私からもお誘いさせてください。
今後も引き続き、ご指導のほどよろしくお願い致します。
失礼ながら、メールにてお礼申し上げます。
鈴木
上司との食事でのマナーは感謝の気持ちを忘れずに
上司との食事ではマナーを守ることが大切です。だからと言って「マナーを失敗したらどうしよう」とばかり考えてしまうと、せっかくの美味しい料理も会話も楽しめません。
作法などの知識的問題を除けば、「忙しいところ、お誘いくださってありがとうございます」「ご馳走していただきありがとうございます」という気持ちを持って接するだけで大丈夫でしょう。気負いすぎず、感謝の気持ちで楽しく有益な食事の席にしてください。