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「する」の敬語とは?ビジネスメールや会話で役立つ正しい表現

「する」の敬語表現はビジネスシーンでも頻繁に使用します。しかし、間違った使い方がそのまま染み付いていることも多いです。定期的に正しい表現を確認し、自分の使い方をチェックすることで、正しい敬語が使えるようにしていきましょう。

「する」の敬語を正しく使えているか時々不安になる

社会人になるとビジネスシーンで敬語を使いますが、自分が使っている敬語が本当に正しいものなのか、時々不安になるものです。「する」は様々な場面で使う言葉であるため、もしも間違った敬語を使い続けていたらと不安になってしまいます。

不安な気持ちを抱えないためにも、定期的に正しい敬語表現を確認して、自分の認識違いを修正することが大切です。ここでは「する」の敬語表現について、改めて確認してみましょう。

「する」の丁寧語は「します」

尊敬語や謙譲語といった本格的な敬語表現の前に、まずは簡単な丁寧語から確認してみましょう。丁寧語は相手や話す内容を問わず、様々な場面で使われており、最低限の言葉のマナーとしてよく用いられています。

「する」を丁寧語に変換すると「します」となります。これはごく基本的な使い方のため、よほどのことが無ければ間違った使い方や失敗をすることはないでしょう。

「します」を使った例文

「する」の敬語のひとつ「します」は、自分の意思や予定を伝える際に使うことが多い言葉です。友人などのフランクな関係だとしても、基本的には「する」より「します」を使うのがビジネスシーンでは適切です。相手の地位がよほど高いなどの場合でなければ、誰に対して使っても特に失礼になることはありませんので、自然に使えるようにしましょう。

「する」の尊敬語は「なさる」「される」

尊敬語は、相手に対する敬意を表すための言葉で、敬意を示すべき相手が主語となる場合に使います。そのため、「する」の尊敬語は、相手が何かを「する」ことを表すために使われます。

「する」を尊敬語に変換する時には、「なさる」または「される」が用いられます。「なさる」は「する」の尊敬語表現で、現在は敬意を強く表す言葉として使われます。一方「される」は尊敬を示す助動詞「れる(られる)」を「する」に適用して作った言葉で、尊敬語ではありますがやや簡単な敬語表現となります。

特に敬意を払う必要がある相手に対しては「なさる」を積極的に使った方が良いでしょう。「される」の場合、使い方によっては受け身の表現にもなるため、誤解を招きやすいという点があるので注意が必要です。

「なさる」「される」を使った例文

「なさる」は連用形では「なさい(ます)」と変化します。「なさり」でも問題はないですが、口語の場合では、ほとんど「なさい(ます)」が使われます。

「どうなさいましたか?」と「どうなされましたか?」とでは、事件などが今起こっているのか、それとも既に起こったのかの違いがあります。「なさる」や「される」を用いる場合は、敬語表現にすることばかりに意識を向けるのではなく、時制についても考えながら言葉を選ぶようにしましょう。

「する」の謙譲語は「いたす」「いたします」

謙譲語は、自分の動作をへりくだって表現することによって相手に敬意を示します。そのため、動作の主体は必ず自分(あるいは自分が所属する組織、組織の人)であることに注意して使ってください。

「する」を謙譲語表現にすると、「いたす(致す)」になります。しかし、「いたす」をそのまま使うことは現代ではほとんど無く、「いたします」の形で用いられます。

「いたす」「いたします」を使った例文

「いたします」は「確認いたします」「承知いたしました」のように、動詞を名詞化したものと一緒になって「●●いたします」という用法が多いです。スラスラと出てくるように、セットで使い方を覚えていくと良いでしょう。

「する」の敬語「させていただく」は他者からの許可を得る場合に使う

「する」の敬語には、「させていただく」という表現があり、例文のように普段から使われることが多い言い回しですが、不適切な使い方をしている場合も多いため、その用法に注意が必要です。

この「させていただく」について文化庁では、「基本的に他者の許可を得た上で、自分が行うことについて、その恩恵を受けることに対して敬意を払っている場合」に使用するのが正しいとしています。つまり、「他者からの許可をもらうような場合」かつ「恩恵がある場合」に用いるべきで、その他の場合は不適切になるのです。

他者からの許可をもらうような場面で使うため、完全に個人で完結するような場合に使うことはありません。「おいとまさせていただきます(=退室させていただきます)」は相手に許可をもらうために正しい表現になりますが、「ネットサーフィンさせていただきます」という使い方だと相手のパソコンなどを使う場合を除き正しくありません。

「させていただく」は「いたします」への言い換えが可能

「させていただく」の多くは、「いたします」と言い換えることが可能です。「発表させていただきます」は「発表いたします」で問題ありませんし、発音もしやすく聞き取りやすいです。文字数も少なく、メールなどの送信も楽になります。

えてして「する」の敬語も含めて、敬語に自信のない人ほどあれこれとくっつけて使い、冗長な表現となってしまいがちです。自信をもってスッキリとした敬語を使えるように練習しましょう。

ビジネスシーンでの「する」の敬語を使った例文

ここで、ビジネスシーンにおける「する」の敬語を使った例文を紹介します。メールや文書、会話など様々なビジネスの場面で使える「する」の敬語を見ていきましょう。

「する」の敬語例文:メール、書類の文中

「お送りさせていただきます」のように、「お●●させていただきます」の形で使う人は多いですが、これは厳密には二重敬語となりますのでよくありません。

また、冗長な文でよく見られるものに「私から書類をお送りさせていただき、請求書はBからお送りさせていただきます」というものがあります。これは「私から資料をお送りし、請求書はBからお送りいたします」とすっきり書くことで、相手も読みやすく、意図を理解しやすくなります。

「する」の敬語例文:社内での会話

相手を気遣って荷物を運ぼうという場合に、尊敬語を間違って使ってしまうと、部長が自ら運ぶのかを尋ねることになってしまいます。意図を正しく伝えるためには、尊敬語ではなく謙譲語を使う必要があります。

「お運びされますか?」は一見合っているように見えますが、意図した内容には受け取ってもらえず、加えて二重敬語になっているために人によっては不快に感じる可能性があります。

「する」の敬語例文:取引先への挨拶

取引先を訪問し、挨拶をするシーンを考えてみましょう。例のように丁寧語で話してもそれほど失礼にはあたりませんが、相手側が重役などの場合にはややフランクな言い方かもしれません。

そこで「させていただきます」という敬語表現を使うと、やや大袈裟な感じを与えてしまいます。○の例文のように「ご紹介いたします」くらいがスマートな敬語です。

「する」の敬語例文:とっさの時

「どうしましたか?」など、とっさの時、相手に状況を尋ねる敬語表現はどういうものが適切なのでしょうか。「いかがいたしましたか?」は一見正しそうに見えますが、実は「いたす」を使っているため謙譲語となり、相手の状況を尋ねる表現としては使うことができません。そのため、○の例のように「なさる」「される」を使った「いかがなさいましたか?」「いかがされましたか?」を用いるのが正解です。

状況的に意図は明らかだと思いますので、とっさに声をかけられても違和感を覚えたり意図がつかめなかったりすることは無いと思われますが、正しい敬語を使っている方が第三者から見るときれいに聞こえます。

「する」の敬語例文:就活の面接

選考するうえでの判断材料にしたいという理由から、就活では敬語の使い方などを比較的シビアに見ることがあります。正しい敬語の使い方を身に着けておくと、就活において積極的に発言できますし、企業にも良い印象を与えることができるでしょう。

例に挙げている文はかなり乱暴な感じを受けますので、ビジネスシーンではそのまま使うことができません。×の例文では、「お●●させていただく」の形になっていて二重敬語となってしまいますし、また一文が長くなってしまいます。○の例文のようにスッキリとした表現をすることを心がけると、話す時に敬語の間違いをしにくいですし、相手も聞きやすくなります。

「何でしょうか?」という文末は少しフランク過ぎますので「お考えですか?」と少し表現を変えています。このように敬語の表現で何か引っかかる点を感じたら、より自然な表現を探してみましょう。

「する」の敬語で多く見られる誤用とは?

「する」の敬語は多く用いる機会がある分、誤用を見かけることも多いです。ここで、代表的な誤用例を紹介しますので、「する」の敬語を使う際には十分に注意しましょう。

「ご覧になられます」などの二重敬語を使ってしまう

二重敬語とは、敬語に敬語を重ねてしまう使い方を言います。具体的な例を出すと「ご覧になられます」などが二重敬語です。この場合、「ご覧になる」に尊敬の助動詞「られる」をつけています。

二重敬語は昔、身分の非常に高い人に対して使われていた言葉であり、現代では間違った使い方となっています。分不相応な敬語を使われるのはいい気がしない人が多く、そのために二重敬語は間違った使い方となっています。

「する」が二重敬語になるのは、「拝見させていただきます」などの場合です。「拝見する」が既に敬語表現であるのにも関わらず、さらに「させていただく」と敬語化することが二重敬語になるということです。この場合は「拝見いたします」程度が適切と考えられています。

その他にも、「お伺いさせていただきます」のように「伺い」に「お」をつけている上に「させていただきます」としがちです。「お伺いします」が本来は適切ですが、これも「お伺いいたします」でもよいことになっています。

二重敬語の例と正しい使い方

自分の上司に対し尊敬語を使ってしまう

自分の上司に対して、尊敬語を使ってしまうなど、尊敬語と謙譲語の使い方を間違っているケースもよく見られます。例えば「課長はおそばとうどん、どちらにいたしますか?」のような使い方をしていることはないでしょうか。正しくは「課長はおそばとうどん、どちらになさいますか?」です。主語が誰かによって、尊敬語を使うべきか謙譲語を使うべきかは変わります。敬意を示す相手は同じだとしても、使い方を間違えないよう注意しましょう。

また、「私どもの部長から許可をいただくことができず、今回の件は難しくなりました」というように取引先との商談中などに、自分の上司に対して尊敬語を使うのもNGです。この例文では敬意が部長に対して向いていますが、ビジネスマナーとしては取引先に対して敬意を示す必要があります。そのため、外部の人と接する際は、自分の上司だとしても身内に対して敬語は使いませんので気をつけましょう。

「する」の敬語は簡単なようで間違いも多いので注意

「する」の敬語は普段から使っている表現も多いため、さほど意識しなくても口から自然に出てくるものです。しかし、その中には厳密に見ると間違った用法も多いため、定期的に使い方チェックして間違いがあれば改善していきましょう。きれいな敬語が使えると、周囲からの印象も大きく変わります。

「する」の敬語として「いかがいたしましたか?」「させていただきます」のように、普段からつい使ってしまっている表現には特に注意し、意識して見直すようにしていくことが大切です。