「お願い」の敬語を使った表現は?メールや電話での依頼の方法
お願い事をしたい時、敬語ではどのように表現すると失礼にあたらないのでしょう。上司や同僚へのお願いのほか、特に注意が必要な取引先に対する依頼の敬語について、例文を交えて分かりやすく解説。それらをマスターすれば、あなたもお願い上手になれるはずです。
「お願い」を敬語で表現すると?上手にお願いして仕事を円滑に
仕事をして行く上では、会社の上司や同僚、部下へ、またはお取引先などに、何かをお願いしなくてはならない時が多々あります。もし、仕事で誰かにお願いをする際、失礼な表現を使ってしまうと、大切なお取引先を失ってしまうような状況になりかねません。そんな最悪な事態を避けるためにも、上手にお願いする方法を身につける必要があるのです。
ここでは、仕事の場面で何かをお願いする時、どんな敬語を使って表現すれば良いのかを分かりやすく解説。きちんとした表現でお願いすれば、お互い気持ちよく業務を進めることができることから、円滑に仕事を進めて行くためにも、誠意のこもったお願いの表現をマスターしていきましょう。
そもそもお願いするってどんな事?
「お願いする」という言葉は、普段から一般的に良く使われていますが、そもそも「お願いする」とはどんな意味があるのでしょうか。
もともと「お願いする」には、「作業や行動をするよう人に頼む」という意味があるように、お願いする相手に、何かしらの作業や行動をしてもらうことによって、負担をかける・負担をかけることが予想される、ということため、相手がどんな立場であっても、お願いをする際は必ずへりくだることが前提となります。
また、闇雲に「お願い!」と連呼しても、相手に意図がきちんと伝わらない恐れがあるので、次のような「お願いする」の類義語を知っておくと、相手に対して何をお願いしたいのか明確に伝えることができます。
「お願いする」の類義語
・依頼する
・注文する
・請求する
・手配する
・頼む
・注文する
・指示する
職場の上司への上手なお願いの仕方
上司に何かをお願いする時は、誰でも気が引けて緊張してしまうものです。目上の人に何かの作業や行動をしてもらう訳ですから、当然ですよね。そんな時はどのようなお願いの仕方をすると、お互いが気持ちよく物事を進めることができるのでしょう?
それでは、会話上で上司に何かをお願いする時には、どんな表現をすればいいのか、一つめの例文として、上司に作成した書類の内容を確認してもらうケースで確認してみましょう。
・「こちらの書類の確認をお願いします」
・「こちらの書類をご確認ください」
・「こちらの書類をご確認なさってください」
二つめ例文は、上司に対して何らかの回答を求める際の言い回しです。「ご回答」の後ろに付く言葉によって、今すぐお願いしたいのか、それとも時間がある時で構わないのか、それぞれニュアンスが違ってきます。
・「先程の件について、ご回答をお願いいたします」
・「先程の件について、ご回答をいただけますでしょうか」
・「先程の件について、ご回答いただきたく存じます」
同じ会社の上司にお願いをする際、実は、それほど改まった敬語表現を使う必要はありません。忙しい仕事中に、丁寧過ぎる言葉使いはかえって業務の妨げになることも考えられるため、あくまでも、上司に対して失礼な印象を与えないことに注意して、敬語で簡潔に伝えることを心がけましょう。
同僚や部下へのフランクなお願いの方法
それでは、立場が対等な同僚や部下に何かをお願いする時はどうでしょう。同僚や部下に対しては、上司にお願いする場合の言葉遣いよりも、次のような少し砕けた言い方で構いません。
- 「忙しいところをすみませんが、この書類を確認してください。」
- 「先程の件について、回答をお願いします」
ただし、上司にお願いする時よりもフランクな表現でも構わないとはいえ、相手に何らかの作業や行動をしてもらうことに変わりありません。相手との関係の距離にもよりますが、たとえ気心が知れた仲だとしても、会社内では基本的に「ですます」調でお願いすることが大切です。
誠意のある態度で接することによって、お互いに気持ちの良いコミュニケーションが取ることができれば、それだけ仕事もスムーズに進みます。
お願いの前には必ずクッション言葉を添える
上司や同僚、部下にお願いするために仕事中に声をかけるということは、作業を中断させることにつながることから、お願いをする前には必ず、「仕事中にお邪魔をしてしまって申し訳ありません」という配慮の気持ちを込めた、次のようなクッション言葉を添える必要があります。
お願いに使えるおすすめのクッション言葉
・「お忙しいところを申し訳ございませんが」
・「お手間を取らせて申し訳ございませんが」
・「お手数をおかけしますが」
・「今、お時間を頂いてもよろしいでしょうか?」
特に、相手が忙しい場合にいきなりお願いをしてしまうと、すぐに対応することが難しい場合や、いい印象を持たれない可能性があることから、まずは相手の状況を確認するためのクッション言葉を添えることで、お願いする相手を気遣うことを心がけましょう。
取引先の人にメールや電話でお願い事をする時は?
上司や同僚、部下にお願いをする場合は、心遣いや丁寧であること求められますが、社外のお取引先に何かをお願いする場合、より形式的な敬語表現が重要になります。ここでは、メールと電話で使えるお願いの敬語をご紹介していきます。
メールでのお願いの例文
取引先に対してメールで何かを依頼する場合、相手に失礼がないよう、次のような敬語を使うのが一般的です。
「ご多忙のところ大変恐縮ですが、添付いたしました書類をご確認いただきますようお願い申し上げます」
「お忙しいところを恐れ入ります。先ほどお話させていただきました案件に関しまして、ご回答いただきたく存じます」
「ご多忙の折、大変恐れ入ります。○日に伺いたく存じますが、少々お時間をいただけますでしょうか」
「存じます」は「思います」の謙譲語にあたることから、「○○してほしいと思っています」というやや控えめなニュアンスになるため、何が何でもして欲しい!と強くお願いしたい時はあまり使わない方がいいのかもしれません。
電話でのお願いの例文
それでは次に、社外のお取引先に対して電話で何かをお願いする場合の、一般的な言葉遣いの例を挙げて行きます。
「お忙しいところ大変恐れ入りますが、先日お渡しさせていただきました書類の確認をお願いいたしたく、お電話を差し上げました」
「お世話になっております。先ほどの案件に関しまして、ご回答頂きたくお電話を致しました」
「いつも大変お世話になっております。お伺いしたい事がございまして、お電話差し上げました。今、少々お時間をいただいても宜しいでしょうか」
この様に、電話で社外のお取引先へ何かをお願いする場合、メールと違って、実際に会話をしながらお願いすることから、改まった表現を使いすぎてしまうと、かえって不自然な印象を与えてしまいます。そのため、敬語を使っていかにさり気なくお願いをするかが大切です。
電話で丁寧な表現が自然と出てくるようになるには、慣れが求められることから、普段から上司や先輩の電話での会話に耳を傾けて、良い技を盗むようにしましょう。さらに、何度も繰り返して使うことによって、自然に敬語を使うことができるようになるはずです。
英語の会話の中で自然に「お願いします」と言うには?
日本語の「お願いします」という言葉には、いろいろな意味が込められることから、英語で表現しようとするとさまざまな言い回しに置き換えることができます。ここでは、日常会話で使われる自然な言い方のほか、ビジネスシーンで使われるお堅い言い方をご紹介します。
場面別に使える「お願いします」の英語表現
まずは、5つのシチュエーション別の「お願いします」の使い方をご紹介。微妙なニュアンスの違いを理解しておきましょう。
「お願いします」に近い英語表現
・Thank you
・I appreciate it
初めて会った時の「お願いします」
・Nice to meet you
・It’s a pleasure to meet you
相手にお願いごとをする時の「お願いします」
・Thanks for taking care of it
・Thank you for doing this
メールの文章を締める時の「お願いします」
・Best regards
・Kind regards
ビジネスで使える「お願いします」の例文
次に紹介するのがビジネスシーンで使える「お願いします」の英語表現です。シチュエーションごとにさまざまな表現があるので、ぜひ参考にしてください。
「宜しくお願いします」
・「We look forward to doing business with you」
直訳すると「あなたとビジネスをすることを楽しみにしています」という意味の、取引相手への挨拶として使える表現です。
「ご理解をお願いします」
・「I would appreciate your understanding」
相手の要求に沿えなかった事に対し、理解をお願いしています。
「事前に予約の確認をお願いします」
・「You are required to reconfirm my reservation beforehand」
同僚や部下に対して、確認のお願いする場面で使われます。
「正式な発注書をお願いします」
・「Please give me the official order form」
Pleaseを付けることで、「give me」を丁寧にしています。
ご存知の通り、英語には日本語のような厳密な敬語というものが存在しないため、その代わりに、単語使いやフレーズの使い分けによって、尊敬や謙譲、丁寧さのニュアンスを付け加えることができます。ビジネスレベルで使いこなすことは難しいことため、はじめは丸暗記することからはじめてみるといいでしょう。
「お願い」事は敬語で気持ちよく頼もう
今回は「お願いする」の敬語がテーマでしたが、やはり何と言っても、会社での仕事を円滑に進めるには、気持ちの良い言葉のキャッチボールが重要になってきます。同じ内容の事をお願いするにしても、その伝え方によって仕事の流れが良くなることもあれば、悪くなることもあります。
そのため、職場でお願いする場合は、普段から誠意のある言葉遣いをするように心がけることが大切です。そうすれば、きっと相手もその誠意に応えてくれ、良い仕事のパートナーシップが得られることでしょう。