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精査の意味は調査とどう違う?正しい使い分け方と参考例文

精査の意味を正確に答えられますか?精査という言葉はビジネスシーンでもよく使われる表現ですが、なぜ精査という言葉を使うのでしょうか。精査という言葉の意味を語源や例文を踏まえてまとめました。上司や取引先の方など目上の人の前でもスマートに使えるよう、正しい使用方法を身に着けましょう。

精査の意味を理解して正しく使おう

ビジネス会話において「精査」という言葉を使うことは少なくありませんが、これは何やら丁寧かつ知的な表現であり、ビジネスシーンにふさわしいと感じ取れることが一因として考えられます。

その一方で「チェック」という言葉もよく使われます。意味合いとしては同じように感じるものの、「チェック」はビジネスシーンではあまり使わず、オフィスワークの際によく使う言葉となっています。

では、なぜ「精査はビジネスシーンで、チェックはオフィスワーク」といった使い分けがされがちなのでしょうか。精査の意味を探りながらその理由を確認してみましょう。

精査の意味とは

精査の意味を辞書で調べてみると「詳しく調べること」と記載されています。「精査した上で検討いたします」と言ったフレーズの場合、「詳しく調べた上で検討させてもらう」という意味になります。

チェックの意味を国語辞典で調べてみると、「照合する」「点検する」とあります。点検や照合ということは何か参考にするものがあり、その内容に合っているかを見るということです。つまり「及第点に達しているかを確認する」ということですので、相手によっては失礼にあたる言い方です。仮にビジネスシーンで「チェックした上で検討します」と使った場合、何となく軽んじられているように感じます。

「精査」の語源は?

熟語の意味を探る際には、それぞれの字にどのような意味や起源があるかを見つめ直すことで、相応しい使い方あるいは適当な使い方というものが見えてきます。

精査の場合は、「精」と「査」という2つの漢字から成る熟語です。

「精」という漢字は元々しらげた米を指します。精米という漢字が当てられるのはこのためです。そこから意味が派生していき「潔い」「混じりけのない」「あきらか」と言った意味合いを持ちます。そして精米する過程、つまり明らかにする過程も含むため「詳しい」という意味も持ちます

「査」という漢字は木を組んだ「いかだ」を表す漢字です。「調べる」は「調べ」という名詞を持ち何らかとうまく合わせたことについて用いますが、「査」という漢字もその意味で「調べる」という意味を持ちます

このふたつの漢字の語源から見ても、精査という言葉は「詳しく調べる」という意味を持っていることがわかります。

「精査」を使った例文

言葉というのは単語だけでは伝わらないことも多く、どのようなフレーズで用いられるのかを知っておかなければ意味がないこともしばしばです。

精査という言葉はビジネスシーンにおいて好まれる表現ですが、実際にはどのような使い方がなされているのでしょうか。よく使われるフレーズのうち、汎用性があるものを紹介します。

クライアントへ伝える場合の「精査」

クライアントに対して、前向きに検討したい気持ちはあるものの、中身をしっかり調べてから上長に確認を取らなければならないというケースでは苦戦するものです。

「精査する」ということは、中身が分からないというよりも慎重に判断をしなければならない事柄を扱うことを醸し出します。「無下にはしたくないけれど、しっかりと調べてみないことにはわからないことから決断を保留したい」というときにも使えます。

内々の話し合いの場合の「精査」

内々の話の中でもすぐには判断できないことがあります。1回の会議だけで決めるということは非常に危険ではありますが、早急に決めなければならないことがあります。そうした緊急性と確実性が要求される案件については次のように答えておくとよいでしょう。

「具体的な内容までは進めていないが、日時や予定が確定次第いつでも動ける」といったニュアンスを含む表現です。また、「やらなければならないことだがデリケートな内容である」ということを仄めかす言い方もできます。

内々の話し合いの中には、上長が意思決定の責任を持つ以上、積極的な言い回しが好まれるケースが少なくありません。このような場合では「精査」という言葉が持つ積極性を活かすことが有効的です。

「精査」と「調査」の違い

精査という言葉を調査という言葉に置き換えている方がいますが、意味としては全く違う言葉のため注意が必要です。精査という言葉はチェックとは異なることを示しましたが、同様に調査に関しても異なる意味合いを持ち、間違ったままにしておくとクライアントに悪印象を与えることになりかねません。

「調査」の意味は?

調査の意味は、「ある物事の実態や事実関係を調べること」です。調査に関しては、あくまで事実関係をとらえるために行うこととして捉えることができます。

また、調査という言葉は、話し合う前提が成り立っていないことを調えるという意味を持ちます。つまり、クライアントに「調査した上で回答いたします」と言えば「実態がまるで掴めなくて怪しいので、実態が分かり次第また話しましょう」ということになります。まるで相手を信用していない言い回しです。調査という言葉は、データや分からないことへ使う言葉であることを覚えておきましょう。

精査と調査は使い分けが必要

精査と調査には「査」という同じ漢字が用いられていますが、意味合いとしては大きな違いがあります。一つの漢字だけでも大きな感じ方の違いがあることは記憶にとどめておくべきです。

精査という言葉が積極的で詳しく調べることを表す言葉であり、調査という言葉が未知の事柄を判明させる言葉であることは述べてきた通りですが、言い方次第では何となく意味は通じるものです。ただし、正確に言葉を選ぶということもまた重要であり、選択できるだけの教養がクライアントに伝わることで信頼関係を強固なものとすることにもつながります。

じっくり検討したい場合は「精査」、データが足りていないのであれば「調査」という言葉を選ぶよう、常日頃から意識しておきましょう。

「精査」を表す英語表現

数十各国の言語で対話できるようにしておく必要はありませんが、現在のスタンダードは英語にあります。クライアントが日本語を話せるとは限りませんので、英語表現まで身に着けておくと安心です。

「精査」は英語でなんて言うの?

「精査」を直訳すると“careful examination”となりますが、長い上使いづらい言い回しなのでネイティブの方がこの表現を使うことは考えにくいです。単純にexamine(動詞)を用いることが一般的となります。
またexamine以外にはvalidate やinspectという単語も用いられます。特にinspectはニュースでもよく見かける英単語ですのでしっかり覚えておきましょう。

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彼女は使途が不透明な政治資金を精査するために、弁護士へ依頼した。

類義語にはinvestigation(調査)やcheck(確認)、research(調査)がありますが、それぞれの意味合いは異なります。クライアントに伝えたりお願いする際に使う言葉としては不適切である場合が多いので、相手によって使い分ける必要があります。

「精査」は念入りに調べるという意味

精査という言葉がどのような意味合いを持っているのかについて述べてきました。特に意味を混同しがちな「チェック」「調査」という言葉は、実際は異なる意味合いを持っていることをご理解いただけたでしょう。

幅広い表現を身に着けておくことは価値観を広げることにもつながります。そして、価値観を広げることで豊かな表現を使いこなせるようになります。ぜひ色々な言葉を知って豊かな表現を身に着けていきましょう。

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