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お取り計らいの意味は?社会人としてマスターしたい使い方

「お取り計らい」という言葉は、ビジネスシーンにおいてよく使用されているものの、その意味を正しく理解したうえで使いこなしている人は多いとはいえません。感謝の気持ちや言いにくいことを伝える際に便利な表現として、「お取り計らい」の適切な使い方を解説します。

「お取り計らい」は意味を理解して上手に使おう

「お取り計らい」という言葉は、社会人になってはじめて聞いたという人もいるのではないでしょうか。「お取り計らい」はビジネスシーンにおいてよく使用される言葉で、直接会話する場面よりも、メールや手紙で見かけることが多いです。

日本人独特の奥ゆかしさがある便利な言葉ですが、微妙なニュアンスを理解して使用するのが難しい言葉ともいえます。「お取り計らい」の正しい意味と使い方を理解し、ふさわしい場面で使用できるよう、例文を挙げながら解説していきます。

「お取り計らい」の意味

「お取り計らい」は、「取り計らい」の丁寧表現です。「取り計らう」とは、物事がうまく行くように処理することを意味します。時代劇などで「よきにはからえ」という言葉が使われるのを聞いたことがある人もいるでしょう。

時代劇における「よきにはからえ」は、お殿様などの地位の高い人から家臣に向かって、半ば命令の形で使用された言葉ですが、現代における「お取り計らい」は、会社の上司といった目上の人や取引先企業の担当者などに向けて使用されることが多いといえます。しかしながら、同僚や部下などに対しても、思案して物事をうまく処理してもらった場合にも使用されており、汎用性の高い言葉です。

物事がうまく行くようにするには、あれこれと思案したり、何とかして便宜をはかったりしながら処理・対応をする必要があります。それだけの労力を相手にこれからかける、もしくはすでにかけてしまったことに対して、「お取り計らい」という表現を使って、よろしくお願いしますという気持ちを伝える必要性が出てきます。

「お取り計らい」を使う場面

「お取り計らい」という言葉を使用する場面は、大きく分けて2通りあります。ビジネスメールにおいて、「何卒よろしくお願い申し上げます」だけでやりとりを締めるのと、「お取り計らい」を用いて相手の配慮や働きに敬意を表するのとでは、印象が全く異なってきます。

「お取り計らい」をはじめとした、ちょっとした表現をコミュニケーションの中に加えていくことで、複雑な調整が必要な難しい案件がスムーズに動いたり、困難な状況に陥っていた物事がうまく運んだりすることがあります。皆が気持ちよく仕事ができる配慮ができる社会人として、スキルアップしていきましょう。

お礼の気持ちを述べるとき

例えば、部署を超えた協業が必要となるような案件において、上司が他部署の上司と相談・調整をしてサポートしてくれることもあるでしょう。そのようなサポートを受けた場合に、お礼の気持ちを述べる言葉として、「お取り計らい」は適切な表現です。

物事をお願いするとき

特別な配慮や調整、処理をお願いする必要がある場合、「お取り計らい」を使用します。これは、相手の裁量で考えて処理することを依頼しているため、相手を絶対的に信頼しているという気持ちが含まれています。

特別なお願いをしているわけではなくても、「お取り計らい」を使用することも可能です。「よろしくお願いいたします」のみ伝えるよりも、丁寧な印象を与えることができます。

「お取り計らい」の使い方

「お取り計らい」の意味がわかったところで、「お取り計らい」という言葉の使い方を、場面別に例文を挙げながらご紹介します。

使い方1.お礼の気持ちを述べるときの「お取り計らい」

イベントなどで社内の調整のため尽力していただいた場合、「お取り計らいいただいた」ということになります。お礼を述べる際に、「お取り計らい」を用いて表現するのが自然かつ好印象になります。

お礼の気持ちを述べるメール文例

タイトル

社内イベントの幹事増員につきまして

内容

〇〇部長

お疲れ様です。

先日は、大変お忙しいなか社内イベントの幹事増員につきましてお取り計らいいただき、誠にありがとうございました。〇〇部長のお取り計らいがございませんでしたら、多忙を極める営業部社員より、本イベントの幹事に一名を選出いただくことは不可能であったと存じます。

ご期待に添えるよう、すばらしいイベントを目指して準備しておりますので、引き続きご指導・ご鞭撻のほど、謹んでお願い申し上げます。

総務部 △△

使い方2.物事をお願いするときの「お取り計らい」

会議をホテルやカンファレンスセンターで実施する場合、会場準備について担当者と入念な打ち合わせをする必要があるでしょう。忘れずに用意しておいてもらいたい備品がある場合や、会場について何らかの調整をお願いする場合などに、「お取り計らい」は適切な表現として使用されます。

物事をお願いするメール文例

タイトル

▲月▲日会議の会場準備につきまして

内容

〇〇ホテル 宴会事業部
●●様

平素よりお世話になっております。

▲月▲日の弊社会議の会場レイアウトをお送りいただき、誠にありがとうございます。
確認いたしましたところ、テーブルのレイアウトは問題ございませんが、追加してご用意いただきたい事項がございます。
会議中にプロジェクターを持参のうえ使用いたしますので、プロジェクターの設置台とスクリーンを会場にご用意いただけますでしょうか。

また、会議は録音いたしますので、会議中は会場近くの廊下の人通りをできるかぎり制限いただけると幸甚に存じます。

ご無理をお願いいたしまして恐縮に存じますが、何卒お取り計らいいただきますよう、お願い申し上げます。

□□株式会社営業部
■■■■

「お取り計らい」の類義語

「お取り計らい」という言葉は、相手に対して敬意をもった丁寧語であり、敬意を表すべき相手に使用するにふさわしい表現です。しかしながら、特に「お取り計らい」をお願いする場合、使用する立場としては「相手によっては厚かましいととらえられてしまうのではないか?」という不安を感じる人もいるでしょう。

言葉のニュアンスのとらえ方は人それぞれなので難しいところですが、「お取り計らい」という言葉自体を目上の人に使用することに抵抗を感じてしまう場合は、類義語に言い換えることも可能です。

ご配慮

「ご配慮」は「お取り計らい」と同じく、物事を依頼する際にも、感謝の気持ちを伝える際にも使用しやすい便利な表現です。

お心遣い

ニュアンスとしては、「お心遣い」はお願いよりも感謝の気持ちの表現で使用しやすいです。

ご高配

「ご高配」は、相手の心配りに対して、敬意をもって表現している言葉です。目上の人や取引先といった、立場が完全に上の相手に対して使用する言葉であり、その点が目上の人以外にも使用する「お取り計らい」とは異なります。

ご高配の意味と正しい使い方とは?知っておきたい頻出単語

「お取り計らい」の英語表現

ビジネスシーンにおいて、海外の担当者に対して「お取り計らい」をお願いしたい場合もあるでしょう。英語にすると、ビジネスシーンで使用するにふさわしい形式張った表現としてはmanagementやarrangementが相当します。他にも裁量や思慮を示すdiscretionや、対処する、処理するといった意味を示すtake care ofで表現することもできます。それぞれ例文を挙げます。

ビジネスシーンで使用するにふさわしい表現

Thank you for the kind arrangements
ご親切なお取り計らいに感謝申し上げます。

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I greatly appreciate your thoughtful arrangements the other day
過日の思慮深いお取り計らいに、心より御礼申し上げます。

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Your quick arrangement in this matter would be very much appreciated
本案件につきまして迅速なお取り計らいをいただきますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

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柔らかめの表現

I will leave the matter entirely to your discretion
あなたのお取り計らいに全てお任せいたします。

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Thank you for taking care of this matter
この件につきまして、よろしくお取り計らいください。

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「お取り計らい」で社会人としての気遣いを表現しよう

ビジネスシーンにおいては、あれこれと調整していただいたり、相手の思慮深い判断と対処に頼らざるをえない状況に遭遇することは多々あります。思いがけない配慮をいただいたことで物事がうまく運び、感謝の意を伝えたいときもあるでしょう。

そのような場面において、「お取り計らい」という言葉は大変便利かつ思いが伝わりやすい表現です。感謝の気持ちは持っていても口に出したり文面に記したりしなければ、相手に伝わりません。「お取り計らい」を表現に取り入れることで、タイミングを逃さず、かつ敬意を表した言葉で相手に感謝を伝えることができます。

「お取り計らい」の意味を正しく理解したうえで、社内外問わず関わっている人に表現していくことで、気遣いのある人という印象を与え、コミュニケーション上手な社会人と評価してもらえます。ぜひ、「お取り計らい」を上手に使えるようになってください。