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平素の意味と正しい使い方を知ろう!今すぐ使える参考例文

「平素」の意味やニュアンスは正しく理解して使っているでしょうか。ビジネスシーンにおいてきちんと使っているようでも、微妙なニュアンスの違いを理解していないと相手に悪い印象を与えることも…。例文などから平素の正しい意味やニュアンスを知りましょう。

「平素」の意味と使い方を知ろう

ビジネスにおいては相手に対する敬意を払い、お互いに信頼関係を築いていく必要があります。その中で非常に重要なのが「言葉」であることは間違いありません。

人間はちょっとした言葉のニュアンスを受けて、少しずつ印象を作っていくものです。ビジネスシーンでは「平素」という言葉がよく使われていますが、この言葉もやはり相手に敬意を示す表現となります。逆によく使われるだけに、ニュアンスがズレると違和感を与えてしまう単語でもあります。

いま一度、ここで「平素」の正しい意味や使い方、表現方法を完璧にマスターし、その場に応じた敬語表現が使えるようになりましょう。

そもそも「平素」とはどんな意味?

まずは「平素(へいそ)」という言葉の意味を理解しておきましょう。

平素という言葉は、「普段」「平常」「いつも」というような意味を持ちます。「平和で素の状態」という意味ですから、「特別なことがないとき」というニュアンスだと思ってください。そして、基本的には書き言葉であり、決まった形で用いられるものです。

このニュアンスから外れて「普段」「いつも」という意味だと何となく記憶していると、間違った使い方をしてしまうこともあります。「平素のように」という言い回しはしませんし、「平素のタイムスケジュール」という使い方がされることもほぼありません。

丁寧な言葉を選ぼうとしても、間違った使い方になればかえって無教養をさらけ出し、恥ずかしい思いをしてしまいますので気を付けましょう。

「平素」と似たような言葉にはどんなものがある?

平素と同じく「普段」「いつも」というような意味を持つ丁寧な表現はたくさんあります。

例えば?

  • 「日頃は」
  • 「毎度」
  • 「常々」
  • 「毎々」
  • 「先般」

ただ、印象としては「平素」がより丁寧に聞こえますし、使うことのできるタイミングとしても幅広いため、特にその表現を使うべき理由がなければ「平素」を使うのが無難でしょう。

「平素」の使い方と文例

では、平素という言葉を使った例文をいくつかシーン別にチェックしていきましょう。見たことがあるという人も多いはずです。

挨拶文やビジネス文書における「平素」

これらはいずれも相手を敬う表現の挨拶で、ほぼ定型文です。「普段から心配りをしていただいてありがとうございます」という内容になります。

「平素は」と「平素より」で大きな違いがあるわけではありませんが、「平素は」では過去にあったことに特に重点が置かれ、「平素より」は過去から現在に至るまでというニュアンスが強くなります。

手紙や礼状における「平素」

手紙では最初に挨拶文があり、季節の挨拶などを行うことが多いです。挨拶は定型の形がありますので、いくつか覚えておくと使い分けができるでしょう。
文頭の「拝啓」はあってもなくとも良いですが、つけている方が丁寧な印象となります。「拝啓」をつけた場合は、手紙の最後は「敬具」で結ぶのを忘れないように注意しましょう。

拝啓・敬具の意味は意外と知らない?メールや手紙の常識

季節感のある時節の挨拶はなくとも構いませんが、教養や「粋」を感じさせるものですから、なかなか書く機会の少なくなった手紙だからこそ大事にしたいものです。受け取る側の評価も高くなります。礼状などではこういった出だしから始まるのがほぼ定型ですから、しっかりと覚えておきましょう。

ビジネスメールにおける「平素」

この場合は、両者の関係が継続的に続いていることを暗に示す「平素より」が多く使われます。「平素」という言葉は基本的に外部の人に対して使い、身内に使うことはあまり多くありません。身内に使う場合は、社長など上層部の方が不特定多数の社員に向けて使う場合などに限られます。

「平素」の使い方でよく見られる間違い

「平素」の使い方でありがちな間違いというのは、多くはニュアンスの間違いです。文法上の間違いよりも、そのニュアンスを悪く捉えられるような使い方を避けるようにすることが大切です。

自分を主体に「平素」を使うのは間違い

×「平素よりご迷惑をおかけしております。先日発生した障害に対する復旧作業が完了いたしましたのでご報告させていただきます」
〇「平素よりお世話になっております。先日発生した障害に対する復旧作業が完了いたしましたのでご報告させていただきます。本件につきましては当社の手違いがあり、大変ご迷惑をおかけいたしましたことをお詫び申し上げます」

一見ありそうな使い方ですが、「迷惑をかける」は自分が主体になっている言い方ですので、申し訳ない状況があったとしても、相手への敬意を示すものとしてはふさわしくありません。「お世話になる」は世話をしている相手の存在を匂わせる表現ですので、こちらを使い、謝罪などがあれば別途明確に伝える方が良いでしょう。

「平素」は初対面の相手には使わない

×「(初対面の相手に)平素よりご愛顧いただき、誠にありがとうございます」
〇「ご愛顧いただき、誠にありがとうございます」

こちらについては、表現は正しいものの使うべき相手には何も経緯がなく、商品やサービスを使ったことがないために不自然さが生じています。この場合は無理に「平素」を付け足す必要はありません。
また、転職した後に以前にお世話になった企業や担当者とやり取りをする際でも、基本的には不適切となります。

「平素」に絵文字や顔文字、スタンプは使わない

×「平素よりご厚情を賜り、誠にありがとうございますm(_ _)m」
〇「平素よりご厚情を賜り、誠にありがとうございます」

当然ながら、顔文字や絵文字、スタンプなどを入れてはいけません。書いた本人は丁寧さを加えるために書いたとしても、相手にはそのように取られず、バカにされたと受け取られることもあります。メールやSNSのやりとりであっても、ビジネスマナーでは格式を大事にしてください。

ちょっと気を付けたい「平素」の使い方

「平素」というのは主に書き言葉になりますので、普段の対話の中で「平素」という言葉を使うことはほぼありません。この場合には「日頃」「いつも」などを使うのが自然となります。

また、時には名詞的に「いつもの様子」を示すこともありますので「平素が見える」というような使い方をすることも可能です。この場合は、話し言葉でも書き言葉でもどちらでも使うことができますが、基本的にはネガティブな意味になり、また丁寧な言い回しということでもありませんので、使いどころには注意が必要です。

「平素」を繰り返し使うのは避ける

「平素」は非常に便利に使える言葉ではありますが、あまりにも連発するのも好ましくありません。

「コピーペースト」が感じられる文章というのは、普段から多数のやり取りをしている時には気になりませんが、重大な内容であるほど気になるものです。文頭とその後の文章の質があまりにも違う場合などはコピペとして取られかねませんので、新入社員など見極めが十分にできない時期は気を付け、上司に確認を仰ぐなどした方が良いでしょう。

また、文章を作成する際の気持ちやリズムにも影響があります。「平素」から始まる文章はできればテンプレートなどで自動化せず、最初から最後まで自分で書くことをおすすめします。

「平素」は「習うより慣れろ」で意味や使い方を覚えていこう

「平素」という言葉は多く使われる分、そのニュアンスがズレているとすぐに違和感を覚える言葉でもあります。ですから、普段からどういう時に使われているかアンテナを張ってみて、その中でニュアンスを覚えるようにすると失敗が少なくなります。

相手に尊敬の意を示すビジネスマナーは、文法的に覚えるよりも、多くの使用例に触れてみて覚えるべきです。学生や新社会人のうちは難しく考えてしまいがちですが、「習うより慣れろ」で、使い方やニュアンスを覚えていくことが使いこなす上で大切です。

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