レセプショニストとはどのような仕事?
「レセプショニスト」という言葉を聞いて、何をする人のことを指すか、すぐにピンとくる人は少ないでしょう。レセプショニストとは、受付業務やフロント係、お客様の応対業務を行う仕事の総称です。勤務場所はコンサートホールやホテル、演劇場、会議場、病院、サロン、ギャラリー、結婚式場などさまざまです。
職務範囲も勤務場所によって多岐にわたり、受付業務をこなすだけでなく会場の案内や、場合によってはイベント企画まで担当していることもあります。
レセプショニストが担う役割
レセプショニストの代表的な職務である受付業務は、訪れたお客様と最初にお会いし応対する立場にあります。いわば、レセプショニストはその場所の「顔」としての役割を担っているといえますので、会場やイベント自体の第一印象を決めるといっても過言ではない重要な仕事です。
レセプショニストへの不満は、会場やイベント自体への不満につながりかねません。しっかりとしたマナーをもって職務に当たる必要があります。
クレームを直接受けた場合は、相手に納得してもらえるよう説明をしたり、時には会場や所属する企業を代表して謝罪をしたりする役回りとなることがあります。
レセプショニストの具体的な仕事内容とは?
レセプショニストの活躍の場はコンサートホールやホテル、演劇場、会議場、病院、サロン、ギャラリー、結婚式場などさまざまです。仕事の内容もただ受付をするだけではなく、さまざまなことに対応しなければなりません。お客様から何を聞かれてもすぐに回答できるよう、自身の勤務先についてよく勉強しておく必要があります。
1 受付業務
イベント会場やサロンへ訪れたお客様に明るく挨拶をして、お名前をおうかがいします。予約情報と素早く照会し、しかるべき対応をとります。特にセレモニーホールの場合は、失礼のないよう最新の注意を払って応対する必要があります。
また、サロンなどでは電話で予約を受け付けることも多く、ハキハキとした聞き取りやすい口調で臨機応変に対応する能力が求められます。常連客の場合は、その人の特性を考慮したうえで最もよいと思われる形の予約を入れるなど、細かな気配りが必要です。予約客の遅れなど、想定外の事態も頻繁に起こるので、その都度ベストな状況を作り出せるような調整能力が試されます。
2 会場案内
演劇場やコンサートホールなどでは、スムーズに全員が着席できるよう、お客様を座席の近くまで案内します。さらに、万が一の緊急事態の際には、避難誘導やお客様の安全確保、応急処置なども行うことになります。人の集まる場所での仕事であるため、自動体外式除細動器(AED)の正しい使用方法や人命救助の措置をマスターしておくことも必須です。冷静沈着な対応能力が問われます。
3 顧客データ管理
受付業務に必ずといっていいほど付随するのが、顧客データの管理です。お客様のお名前をおうかがいし、来場したという情報を入力する作業のことです。勤務先によって入力する情報は異なりますが、いずれも重要な個人情報です。個人情報を管理することに対する責任感と倫理観を備えている人でなければ、務まらない仕事です。
また、限られた時間のなかで迅速にパソコン上で情報を処理していく必要がありますので、基本的なパソコン操作を身につけておきましょう。
レセプショニストの年収
レセプショニストの年収は、業種や勤務先によって大きな違いがみられるので一概にはいえません。雇用形態も正社員、契約社員、派遣社員、アルバイトなど、多岐にわたります。正社員の平均月給は18~20万程度で、アルバイトやパートの平均時給は1,000~1,500円程度が目安となるでしょう。他の職種と同じように、スキルや勤務先の企業の状況によっては収入アップも見込めます。
なお、レセプショニストの勤務時間は勤務先の業種によって大きく変わります。一般的な企業であれば9時~18時の間が多いですが、サロンでは早番・遅番といったシフト制のことが多いでしょう。平日だけではなく土日祝日の勤務がある場合も少なくありませんので、自身の臨む生活スタイルとかけ離れた勤務体制にならないかどうかを、事前によく確認しておくと安心です。
見込める収入がどのくらいの額であるかどうか、さらに勤務形態や勤務時間、仕事内容などを総合的に考えて就職先を吟味することが重要です。
レセプショニストのなり方
レセプショニストになるために取得が必要となる資格は特にありませんが、接客サービス業である以上、基本的な接客スキルとビジネスマナー、正しい言葉使いを身に着けておくのは必須です。
マナーに関する各種検定を受けておくと、就職活動の際にスキルを効果的にアピールできます。具体的な例としては、NPO法人日本サービスマナー協会が主催する「接客サービスマナー検定」や「敬語力検定」、全日本マナー検定協会が主催する「マナー検定」、公益財団法人実務技能検定協会が主催する「ビジネス実務マナー検定」などが挙げられます。
また、複数の業務を同時に進行させることになる可能性を十分に理解し、希望する就職先について深く研究しておく必要があるでしょう。コンサートホールやサロン、結婚式場などで求人が出ていないかこまめにチェックすることを心がけて、情報を見逃さないようにしましょう。未経験者についても積極的に採用しているので、レセプショニストの職には比較的就きやすいともいえます。
なおレセプショニストの男女比率は2:8と、現状では圧倒的に女性が多い職種です。受付業務などの特色上、今後も女性が多い状況は続くでしょう。
レセプショニストのやりがいと苦労について
レセプショニストには日々の励みとなるようなやりがいがある一方で、お客様と最初に対峙する職務ならではの苦労も存在します。レセプショニストを目指す人は、どちらも知っておくと仕事を始めてから理想と現実のギャップに苦悩する恐れが少なくなります。
1 レセプショニストとしてのやりがい
レセプショニストのやりがいとしてまず挙げられるのは、お客様と密なコミュニケーションがとれることです。それぞれのお客様の性格や特徴を掴んで満足が伝わる応対ができることが増えると、レセプショニストの仕事の面白さや奥深さを感じるようになります。実際に、お客様から感謝の思いを告げられることもあるでしょう。
2 レセプショニストとしての苦労
レセプショニストにおける苦労として挙げられるのは、現場に立ってお客様の応対する職務として、クレーム処理を担当する必要があることです。自身のミスが引き金となったトラブルの場合もあれば、会場や企業全体に対する不満・理不尽なクレームを受ける場合もあります。
いずれの場合も、真摯に対話する姿勢を示して何が問題であるのかを正確に聞き出し、最善の対処をすることが求められます。これらの対応は、非常に神経をすり減らす業務であるといえます。
3 レセプショニストの将来性
今後もレセプショニストが必要とされる機会は増えると考えられているため、職種としての将来展望は明るいでしょう。また、2020年に開催予定の東京オリンピックをはじめ、日本への外国人観光客は増加する一方です。
あらゆるイベント会場に、外国人観光客の姿がますます多く見られるようになりました。英語や中国語などの外国語を流暢に話すことができれば、レセプショニストとしての職務範囲が広がり、自身のやりがいやキャリアアップにも繋がっていくでしょう。
レセプショニストに向いているのは人と話すのが好きな人
レセプショニストは接客する仕事であるため、他人とコミュニケーションを円滑にとれる人や他人と会話をすることが好きな人に向いているのはいうまでもありません。しかし、内向的な人でもお客様の求めていることを冷静に聞き出せる人は、安心感を相手に与えられます。もの静かな人でも、自分の長所を生かしてお客様の信頼感を得る接客をすることで、社交的でトークが得意な人とは一味違う魅力を持ったレセプショニストになれる可能性があるといえます。
マニュアル一辺倒で仕事をこなすのではなく、自身の頭で考えながら状況に合わせて柔軟な会話のキャッチボールと対応ができる人は、レセプショニストとして活躍することができるでしょう。「人と話すのが好き」という人はチャレンジするに値する仕事です。