看護師の二交代制と三交代制の違いは?メリットデメリット

看護師は二交代や三交代といった勤務シフトで、医療機関における24時間の看護体制を作っています。勤務シフトは働き方や待遇・体調を大きく左右する要因ですので、看護師を志望する方は二交代と三交代それぞれのメリットとデメリットをしっかり理解しておく必要があります。

看護師の二交代制と三交代制の違いは?メリットデメリット

看護師の二交代と三交代の違いを知っておこう

個人経営のクリニック(診療院)などを除けば、多くの医療現場では看護師が夜間も患者の対応のために病院に残って勤務しています。

夜勤は身体にも負担が大きく、集中力の低下が医療現場では重大なミスにつながることもあり、看護師の健康状態や医療の質を確保するためにも、こうした看護師の勤務シフトは非常に重要な問題であると受け止められています。

看護師の勤務シフトには大きく分けて二交代三交代がありますが、看護師という仕事を長く続けるには、それぞれどのような特徴を持っているのか理解し、自分に合った勤務体系を考えることが大切です。

看護師の仕事は24時間で考えることも多い

夜にバスで帰る看護師

看護師の仕事はベッド数の多い病院だけでなく、入院患者を抱えるような病院であればほぼ確実に夜勤が必要となります。

病院は24時間休むことができません。24時間をどのように区切るかで、2交代制と3交代制は分かれています。

基本的に毎月シフトを組んで、大きくは日勤と夜勤のどちらかでシフトに入ります。ほとんどの人がバランスを取りながら、日勤・夜勤の両方のシフトに入ることになりますが、それによって勤務時間や曜日、また生活リズムなどが不規則になってしまいがちです。

看護師の仕事が24時間欠かさず必要であるからこそ生じる問題ですが、未だ有効な解決方法は出てきておらず、医療現場の人手不足と相まって看護職をハードな職場にしています。

看護師の「二交代制」とは?

看護師の二交代制とは、1日の勤務を大きく日勤と夜勤の2種類に分けた勤務体系を言います。

看護師の二交代制

キッパリ12時間ずつに分かれていることはあまりなく、外来などもあって忙しい日中の朝から夕方までの日勤8時間と、入院患者の対応を中心とする夜勤16時間という勤務体系になっているところが多いです。

時間帯は病院によって多少の違いがあるのが普通で、病院の外来の時間などによって違っています。

二交代制のメリット

二交代制の場合は、夜勤では勤務時間は長くなりますが、その分出勤日が少なくなり、休みが多く取れるというメリットがあります。

また、夜勤手当が多くつきますので、給料が高くなることもメリットで、夜勤の場合は一回の勤務で2万円から2.5万円くらいになることが多いです。

勤務シフトも明快で組みやすく、調子を整えてシフトに入りやすいことや、また急な都合でシフトに入れなくなったときにも代わりに入ってもらいやすいメリットがあります。

2交代制の場合には、勤務時間・拘束時間そのものは長いですが、間に休憩や仮眠の取れる時間もあり、また深夜帯は患者の状態に急変などが無ければ見回りと事務処理だけで終わることも多く、静かな時間を過ごせることもあります。

二交代のデメリット

疲労して首筋に手をやる看護師

二交代制のデメリットとしては、何よりもやはり16時間という長時間の勤務です。体力的にも精神的にもきつく、また生活リズムが大きく崩れるという欠点があります。

幼い子供がいるなど、長時間は家を開けられないという人の場合は、二交代制の仕事が家庭の状況上難しくなることも多く、入れる人を選ぶという性質があります。

また、仮眠や休憩の時間は取られていますが、患者の状況によっては緊急で動くこともあり、集中力のオンとオフが上手くできないと大きな事故につながってしまいます。小人数で多くの患者を看ることになりますので、その分しっかりした人しかシフトに入れないため、夜勤が偏る傾向があります。

看護師の「三交代制」とは?

3交代制の時間

3交代制の場合、1日の勤務が日勤と準夜勤と深夜勤の3つに分かれます。

日勤は朝から夕方、準夜勤は夕方から深夜(およそ24時頃まで)、深夜勤は準夜勤と日勤の間をつなぎます。この3種類がそれぞれ8時間ずつ割り当てられているのが特徴です。

三交代制のメリット

勤務時間が短いため、1回あたりの勤務における負荷は少なく済みます

一日の勤務時間が安定し、また大きく時間を取られないため、家事などで長く家を空けられない人でもシフトに入りやすい特徴があります。

勤務に入る間隔が短くなるため、患者の状況の変化を追いやすく、勤務開始時の引継ぎもスムーズになります。

三交代制のデメリット

寝て起きたら仕事

準夜勤の場合は深夜手当が出る時間が少なくなるため、負担感ほど給料がもらえないという場合もあり、デメリットと感じる人もいます。深夜勤務と認められる時間が22:00~5:00であるために、深夜手当が多くはつきません

勤務体制が複雑になってしまうため、自身の都合によって休む場合に代役を立てにくくなります。

また、シフトの状況次第で、準夜勤が終わって遅くに帰宅し、休んだらまた日勤というケースがあったり、生活リズムが不安定になりやすいという問題もあります。

時間帯によっては交通機関の問題によって通勤や帰宅が困難になることもあり、入れる人が限られてしまってシフト調整が難しくなることもあります。また、看護師は女性が多いですが、深夜の通勤がパターン化することでトラブルが発生することも危惧されます。

二交代制と三交代制できついのはどっち?

二交代制と三交代制では、どちらがきついかというのは人次第です

体力的には二交代制の方が勤務中は大変ですが、その分しっかりと休養も取れますので、疲れは残りにくいという人もいます。ただし、ある程度の年齢になってくると、長時間の勤務だと体力や集中力が続かないという人も出てきます。

三交代制は、勤務シフトによって体力的なきつさが大きく変わってきます。基本的には生体リズムに沿って勤務シフトをひとつずつずらしていく正循環と呼ばれるシフトを日看協も推奨していますが、正循環にならない逆循環の方が思い切った休みの期間を取りやすく、休みを満喫できると考える人もいますし、医療を提供することを考えると都合がいい面もあります。

人によっては勤務時間が長いことが辛くなりますし、人によっては休日として使える時間の質が問題です。またある人には給料の額が問題になります。何がきついかは人それぞれでやってみないとわからない面がありますし、また組織によってはシフトの組み方が偏ってしまい、そのためにきつい状況が出てきてしまうこともあります。

72時間ルールについて

72時間の矛盾

看護師の勤務シフトを考える上で覚えておきたいのが「72時間ルール」です。これは、看護師の夜勤の時間を一人あたり平均で72時間/月以内にするというものです(注1)。

72時間ルールによって看護師の心身の負担を軽減することが目的になっているのですが、「一人あたり平均で」が曲者で、実際には特定の人に夜勤が増える状況を生み出していることがあります。

また、夜勤の給料を生活面で頼りにしている人の場合、夜勤に入れる数が減ってしまうために、休日にも他の病院で夜勤のアルバイトに入ったりする人もおり、72時間ルールで保護しようとしている看護師の生活が体力的にも余計にきついものになっている場合もあります。

72時間ルールを守るべき対象は基本的に医療機関であり、違反時に罰則を受けるのも医療機関です。一部の人に無理なシフト勤務が集中していても、全体の看護師の人数で数字上は薄めてしまうことができるなど、抜け道が様々にあります。

定期的にルールの見直しや改定が行われているため、看護師として働いている、もしくは今後働くことを考えているなら注意を払っておいた方が良いでしょう。

看護師の勤務体系は様々

病院の実態は多様です

看護師の勤務体系は二交代制と三交代制だけではありません。二交代制と三交代制を一緒に取り入れているところや独自の勤務シフトを導入している医療機関もあります。アルバイトなどを利用して手薄になりがちな時間帯を補っている場合もあります。

いずれにしても、自分の生活スタイルや体調、体力などを考慮し、無理なく続けることができる勤務体系でシフトに入ることが看護師には望まれますし、医療機関にも労働者の希望をしっかりと把握した上での人員計画が求められます。

個人病院などでは、一人の看護師が朝から夜の病院の閉まる時間までずっと働いている状況もあります。外来の状況によっては昼食休憩の他はほとんど休憩が取れず、外来が終わってもミーティングなどで毎日のように時間外労働が発生しているところもあります。

同じように看護師として働いていても、勤務先によって勤務体系は様々であると考えておきましょう。

自分にあったシフトを選ぼう

現在、多くの医療機関がある中で看護師の人数が不足している状況がありますが、実際には資格は持っていてもリタイヤしており、再び現場に復帰することをためらう方もいます。その理由にはハードな勤務シフトがあることは想像に難くありません。

現場を一度離れると復帰が難しいからこそ、しっかりと勤務シフトについても理解した上で、自分が働きやすいシフトを主張する権利が労働者として一人一人にあります。

患者さんに良い医療サービスを提供し自分らしく働くためにも、二交代や三交代というシフトを自分で選んでいくことが大切です。