図書館司書として図書館の利用者の役に立てる存在になろう
誰もが一度は図書館を利用したことがあるでしょう。図書館司書は、誰にとっても馴染み深い職業のひとつと言えます。図書館司書の仕事は多岐に渡りますが、どれも利用者にとって欠かせない大切なものです。
図書館の利用者の役に立つことを実感できるため、図書館司書の仕事はとてもやりがいがあると言えます。図書館にはさまざまな人が訪れますが、本や資料を必要としていることに変わりはありません。そういった人たちのために働くという意識を持って仕事に向き合うようにしましょう。
図書館を利用する人たちがどのようなことを求めているのかを汲み取って、細かいところまで行き届いたサービスを提供できる図書館司書になれるように、日々努力することが求められます。
図書館司書は具体的にどんなことをする職業なのか?
図書館司書は、全国の小学校、中学校、高校の図書室、大学の図書館、公立図書館で仕事をすることになります。
図書館司書の仕事は、直接利用者と接する業務と、利用者からは見えないところで行う業務の二種類に分けられます。どちらも行うことになるため、慣れないうちは大変だと感じることも多いでしょうが、回数を重ねることでテキパキとできるようになるので、あまり心配する必要はありません。
1.カウンターでする仕事は本の貸し出しや返却の作業など
実際に利用者と接する業務として、カウンターでの仕事があります。カウンターでは、利用者に本の貸し出しをしたり、返却された本を受け取ったりします。本の貸し出しの際には、貸し出し期限を伝えて、利用者に本を利用できる期間を伝えます。
また、本の貸し出しには図書館の利用者登録が必要となります。そのため、カウンターでは利用者登録を受け付けています。図書館の登録カードを作ることも図書館司書の仕事のひとつです。その際に、図書館の年間スケジュール表などを渡して、閉館予定などをお知らせすることもあります。
2.資料の場所を利用者に案内するのも図書館司書の仕事
カウンターには、資料の場所を尋ねる利用者も訪れます。そういった利用者のためにも、図書館の中の蔵書の位置はある程度把握しておく必要があります。もちろん検索機を使うことも可能ですが、検索機が設置されていない図書館の場合は、自分で探さなくてはなりません。日頃から図書館内を意識して見回っておくべきでしょう。
3.利用者と接しない仕事として保管している本の管理をすることがある
図書館を利用する人と直接接しない仕事では、蔵書の管理が挙げられます。本に記号や番号を割り振って、専門の機械に入力して、背表紙や裏表紙などにラベルを貼りつけることも図書館司書の仕事のひとつです。
また、図書館に保管されている本が破損していないか、なくなっていないかなどといったことを確認することも重要な仕事です。もしも破れていたりページが抜けていたりした場合は、直さなければなりません。
4.本を整理して正しい位置に戻しておくことも仕事に含まれる
図書館の棚にある本を整理して、正しい位置に直すことも図書館司書の仕事です。カウンターに返却された本や、返却ポストに返された本を処理した後に棚に戻すことももちろん仕事に含まれます。
検索機で調べた本が検索結果通りの位置に置いていないと利用者は困ってしまうので、常に蔵書は正しい位置に置かれていなければなりません。図書館司書は、情報通りに蔵書が置かれているかどうかをチェックしておく必要があります。
5.新しい本を追加して図書館の蔵書を充実させる仕事もある
図書館の蔵書を充実させるために、新しい本を追加することも図書館司書の仕事です。新刊が発売された時や、利用者からの要望が多い本があった時などには、蔵書への追加を検討します。そうすることで、蔵書をどんどん増やしていきます。
どういった本を追加していくかはその時次第ですが、できるだけ多くの本を追加して、蔵書を充実させ、利用者にとって便利な図書館となることが求められます。
6.展示コーナーのレイアウトを考えて飾り付ける
図書館には、展示コーナーを設けているところもあります。展示コーナーでは、図書館からのお知らせや、その月に行われるイベントのお知らせを貼り出したりします。また、読書に関するコラムや、新しく入った本の紹介、人気がある著者の紹介をするなど、色々な工夫が考えられます。
図書館司書は、そういった展示コーナーを作る仕事を任されることがあります。利用者が図書館や読書に対してより一層興味を持ってくれるような展示をするために、さまざまな趣向を凝らす必要があります。
7.利用者に楽しんでもらえるイベントの開催を企画するのも図書館司書の仕事
図書館ではイベントが催されることがあります。利用者が読書に親しめるようにするためのイベントを企画するのも、図書館司書の仕事のひとつです。
幼児向けの読み聞かせ会や、著名人を招いての講演会、セミナーなど、老若男女問わず楽しんでもらえるイベントを開催することが利用者に求められています。図書館司書は、そういったイベントの企画力も問われる職業なのです。
図書館司書になるためにはどうしたらいいのか?
図書館司書の仕事をするためには、何らかの形で司書の資格を取得しなければなりません。
- 司書養成課程のある大学や短大で、司書養成科目の単位を修得し、資格を取得する
- 大学、短大、高等専門学校を卒業した後に司書講習を受ける(通信制、夜間でもOK)
- 司書補講習を受けて司書補資格を取得し、「司書補」となり、3年以上の実務経験を積み、司書講習を受講する
司書の資格は、上記いずれかの方法で取得することができます。
また、公立図書館の図書館司書は、地方公務員ですから、司書の資格を保持するほかに、公務員採用試験を受験し、合格する必要があります。
司書の資格取得には年齢制限がないので図書館司書はいつからでも目指せる
司書の資格を取得することに対しては、年齢制限がありません。ですから、働きながら資格取得のために努力する、といった方法もあります。会社員をしているけれど図書館司書になりたい、という人もいるでしょうし、実際に会社員から図書館司書に転職したという人もいます。
図書館司書の仕事に魅力を感じたら、何歳からでも目指すことができるというのは大きな利点です。資格を必要とする仕事は年齢制限を伴うものが多いのですが、図書館司書はそれがありません。資格取得をする環境を整えることさえできれば、いつでも目指せる仕事なのです。
正規の図書館司書になるためには厳しい現実が待っている
図書館司書は、正規雇用までの道のりが長いということを覚悟しておかなければなりません。なかなか職員に空きができないため、正規雇用されずに、アルバイトやパートなどの非正規雇用として雇われている図書館司書の職員が多いというのが現実です。
ですから、司書の資格を取得できたからといって、すぐに正社員として勤務できるとは限らないということを覚えておきましょう。
図書館司書の仕事に向いているのはこんな人である
図書館司書の仕事に向いているのは、本や読書が好きであることはもちろんですが、人と接することが好きである人だと言えるでしょう。
蔵書の整理については本が好きであることが求められる作業ですが、カウンターでの仕事は人との関りが大切です。また、イベントが開催された際には、利用者とのふれあいが求められます。特に読み聞かせの会などでは、それが顕著となります。
図書館は利用者に快適に、便利に利用してもらうことを考える施設ですから、人と接することが苦手な人には図書館司書は少し難しい仕事であると言えます。
また、利用者のために、どういったイベントを開催すれば喜んでもらえるか、どのような展示をすれば読書に興味を持ってもらえるか、などといったことを考えるのが好きだという人にとっては、図書館司書の仕事は向いているでしょう。
私、図書館司書をやっていました体験談
ここでは、実際に図書館司書として働いていた人の体験談を紹介します。図書館司書として働くことのやりがいも大変なこともよく分かります。
とてもやりがいがありました
まや(27歳)
2年ほど司書としてフルタイム勤務していました。私立、公立共に勤務経験があります。勤務はシフト制です。基本的に土日は混むので休めず、平日に休みを取ることが多かったように思います。大学図書館は遅くまで開館しているので、22時過ぎまで勤務していました。私が勤務していた公立図書館は21時には閉館でした。
私の仕事は貸出返却、壊れた本の補修、新しい本の受け入れ作業、レファレンス、予約作業、予約本に関する電話連絡などでした。人と話すことが多く、本と触れ合う時間はほとんどありません。
公立図書館の場合は誰でも利用できるため、時々変質者が入ってくるのが困りものでした。(警備員の方が対応してくださいますが)。大学図書館の場合でも、クセのある教授の対応は手順を覚えるまでとても大変です。
しかし、絵本を借りた小さな子がにこにこお礼を言ってくれたり、私のレファレンスを褒めてくださり、次もあなたにお願いしたいと言っていただけるととてもやりがいがありました。
私が図書館をやめた理由
雪味大福(30歳)
私は、2012年の4月から2013年3月までの1年間、県立図書館で非常勤の司書として勤務していました。主に事務室や書庫で業務をしていました。勤務時間は、確か、8時半~17時だったかと思います。土日祝日休みで、残業は、全くありませんでした。
司書をしていて大変だったことの一点目は、非常勤であるために任期があることです。生活も人生も安定しないのは、とても辛いです。
二点目は、体力仕事だったことです。本は重く、書庫は広いため、体力勝負です。そして女性の職場であるため、女性でも力仕事を率先してしなければなりません。
司書をしていてよかったことの一点目は、面白い本にたくさん出会えることです。閲覧室に出ている本は図書館の在庫のほんの一部にしかすぎず、書庫には膨大な数の本があります。
昼休みに書庫を歩いていると、興味を惹かれる本にたくさん出会い、そこで読みふけってしまうことは、何度もありました。また、新刊も閲覧室に出る前に手に取ることができます。
二点目は、素晴らしい同僚に恵まれたことです。私が司書をしていた際は同僚に同年代が多く、とても仲良くなりました。
喜びも悲しみも体験できるのが司書
るるる(47歳)
町立図書館後に市町村合併により市立図書館となりました。規模としては10万冊所蔵の図書館です。館長は、社会教育課長が兼務です。事務方と建築物管理の為の市の職員が専任係長1名と事務方1名です。
館長並びに市職員は、司書の資格を持っていません。嘱託職員(雇用保険付き)として司書は雇われ1年契約で5年以内の雇用でした。毎年、市の嘱託職員の募集をしますので面接が有り、使いにくい司書は再雇用されません。市職員も異動があり、嘱託職員の司書も5年の期限があるので、蔵書の構築や資料を知り尽くしている人材は育たないタイプの図書館でした。
勤務時間は、早番が8:30~17:15、遅番が9:30~18:15で、休憩時間は、75分です。休みは、休館日と、土日のいずれかになります。祝日や土日のイベント等で出勤簿した場合は、振替休となります。
司書の業務は、カウンター、レファレンス、児童奉仕活動、移動図書館車業務、選書、郷土資料の収集と受け入れ図書館ボランティア活動の補助と多岐に渡っています。いろいろな利用者の方が来られ、その方が望む資料をお渡しできれば喜びですし、お役に立てないときに勉強不足を痛感します。
図書館司書の仕事は利用者のためにできることを探すことが多い
図書館司書の仕事は、決められたことをただ淡々とこなすだけのものではありません。機械的に動くだけではなく、自主的に考え、工夫することが求められます。単に本を処理するだけではなく、利用者のために何ができるかということを探さなければなりません。
図書館司書になりたいと考えるのであれば、自分が実際に利用者の人たちのためにどのようなことができるのかを考えてみると良いでしょう。自分ならどういった働き方ができるか、読書に対してどういった考えを持っているかなど、図書館司書になりたいという動機について見つめ直す機会を持つことをおすすめします。