バイトを初日で辞めるのは珍しくない
アルバイトやパートをしている人の中には、採用され、勤務初日で何か不都合があり辞めてしまう人もいます。その理由は様々ですが、人によっては腑に落ちないと感じてしまったり、またバイトを初日で辞めることそのものに罪悪感を覚えることもあります。
当然、アルバイトを辞めざるを得ない事情はあったとしても、マナーを欠いた辞め方をされると周囲もモヤモヤしてしまいます。アルバイトを初日で辞めたい、辞めざるを得ない場合には、どのように手続きを進めるべきなのか覚えておきましょう。
実際の就活などでも考え方は共通しますので、学生から社会人まで最低限のマナーとして押さえておきましょう。
バイトを初日で辞める理由はさまざま
バイトを初日で辞めたいと思う場合に多く見られる理由ですが、これには本音と建前がどうしても存在しています。何が本音で何が建前かはケースバイケースですが、該当するものがあれば、他でも良くあることなのだと納得もできるでしょう。
例えば、「体力的にきつかった」「時間外労働が多かった」「同僚の雰囲気が合わなかった」「求められる仕事が話と違っていた」「シフトに予想以上に多く入れられそうになった」というような職場における業務や環境に問題がある場合もありますし、「家庭の事情が発生した」「面白くなかった」「体調を崩してしまった」「学業やサークルなどとの両立が難しそうだった」「家族の反対があった」など、本人や本人の家庭に起因する問題があります。
いずれの場合にしても、それが本当かどうかは別として、できるだけ職場を批判するような理由を退職理由にせず、自分に関する様々な事情を前に出して退職するのがマナーです。これが俗に言う「一身上の都合」だからです。これができないと心証が悪く、その後に揉める原因になります。
バイトを初日で辞める場合に気を付けたい4つのポイント
バイトを初日で辞める場合に注意しておきたい点、またしっかり踏襲するべきマナー上のポイントがありますので確認しておきましょう。
1 本当に辞める必要があるのか考える
「わざわざ辞めることもないのに」と周囲が考えるような理由で辞める人というのは少なくありません。相談すれば解決する問題や、慣れたら何ともないようなことが、はじめは大きく見えてしまって辞めたい気持ちになることがあります。ネガティブな気持ちになっている時はそればかりが気になってしまいます。時間を置いて、冷静に本当に辞める必要があるのか考えてみましょう。
2 タイミングはできるだけ早く
バイトをやめる際には、できるだけ早くその旨をバイト先に伝える必要があります。
法的には雇用期間の定めがない場合には退職をいつでも告げることが可能で、雇用契約はそれから2週間後に解除となることが定められています(注1)。同意があれば即日退職も可能ですが、告げてしまえば、その後は特にシフトが決まっていないのなら事実上退職したことと同じです。
ただし、これはあくまで法律上の話で、雇用契約時に「退職の際は1か月前までに告げること」などとルールがある場合は、それに同意して契約したことになりますので注意しましょう。
3 辞めたい旨をバイト先に伝える
バイトを辞めたいと思ったのなら、その退職意思をバイト先にきちんと伝える必要があります。基本的には店舗の責任者、もしくは直接の上司にあたる人に対してその旨を伝えることになります。もしもバイト先が大きく、人事や採用の担当者がいる場合にはその人に伝えれば大丈夫です。
この際、できるだけ口頭で直接伝えるようにしてください。直接ができない場合は電話がベターです。メールやSNSでは一方的になってしまいますので、できるだけ双方の意見をすり合わせることができる方法を選ぶようにしてください。
4 退職に必要な手続きをする
辞める意思を伝えてしまえば、後は必要な手続きを会社側で行ってくれるはずです。もしもわからないところがあれば確認するようにしましょう。制服や備品の貸与があれば必ず返却するようにしてください。
また、書類などを書く必要がある場合、書類の内容をしっかり確認してから捺印して提出するようにしましょう。書類の内容には、自分にとって不利な内容がある場合もあるので注意してください。
バイトを初日で辞める際に発生するリスク
アルバイトを雇う側にとって、せっかく雇ったのに初日で辞められてしまってはたまったものではありません。バイトを初日で辞める際には、どのようなリスクがあるのかも頭に入れておきましょう。
1 損害賠償を請求される恐れがある
バイトを初日で辞める時、無断で退職してしまった場合には、損害賠償が発生する場合もあります。バイト先によっては、そのために研修の準備や制服の準備、社会保険の準備など、雇用に伴って様々な費用が発生する活動が始まっています。
また、当然採用担当者の人件費なども発生しています。辞めたことそのものに損害賠償を求められるのではなく、こうした費用に関して賠償を求められた場合、不利になりますので気を付けてください。
本当に請求されるケースは少ないですが、たとえば初日分の給料精算をなしにして手打ちにするといったことも多いです。
2 履歴書には書けない
バイトを初日で辞めた場合には、履歴書には書こうと思えば書けますが、書くほどの内容がありません。たとえ高級ブランド店でアルバイトをしたとしても、1日で辞めたならマイナス評価にしかなりません。あえて書かないといけない理由はありませんので、職歴としては残さない方が良いでしょう。
3 地域で噂になる可能性がある
地域の店舗などで交流が盛んな地域の場合、初日で辞めたことが他のお店などにも伝わってしまい、その後の採用に不利になるケースもあります。同じような業種や地域は意外なところでつながりがあったり、人の目がありますので注意しましょう。
4 初日で見切る悪癖がつく
初日でバイトを辞めてしまう人の中には、それが癖になってしまう人もいます。同僚のささいな言動や、また指導方法などが自分に合わないとすぐにそっぽを向いて辞めてしまうのです。理想の職場はそう簡単には見つかりませんし、最初は誰でも不安なものです。初日で職場を見切り、辞めてしまう癖がつくと、どんな職場でもなじめなくなっていきますので注意しましょう。
バイトを初日で辞める際によくある質問
初日だけれどバイトを辞めたいと思っても、決断するには戸惑いがあることも確かです。バイトを初日で辞める際に気になる点について補足します。
Q1 給料は発生する?
初日しか働いていないとしても、時給計算した給料は発生します。しかし、振込先やバイト代を支給するための方法も決まっていないまま退職することが多いため、うやむやになりがちです。また、会社側に迷惑をかけたことを理由に口頭契約でバイト代で相殺するケースもしばしばです。
Q2 なぜ無断で退職するのはダメなのか?
バイト初日を何とかしのぎ、その後はもう連絡も受け付けず、バイト先に足も運ばず完全に縁を切ることは不可能ではありません。初日しか勤務していないアルバイトに、わざわざ連絡したり、自宅を訪問したり、賠償請求をすることはほとんどありません。そもそも人手不足でアルバイトを募集しているのですから、そのようなことをするよりすぐに次の採用に向かいます。
しかしこの場合、賠償のリスクと社会人としてのマナーといった観点から見ると問題があるのは明白です。社会生活においてはどこでアルバイト先の人と接点を持つかわかりませんし、その場合には後ろめたい思いをしたり、相手からは否定的に見られることもあります。
初日でバイトを辞める際には、気持ちよく退職し、一日分とは言え労働の対価をしっかりもらうためにもきちんと手続きを踏むことをおすすめします。
Q3 ちゃんと辞められる?
そもそもちゃんと辞められるのかが心配という人もいます。基本的には退職の意向を伝えてきた人を雇用し、使用し続けるのは使用者にもリスクでしかありません。いついなくなるかわからない人をアテにして業務を遂行することはできません。
辞めさせないよう引き止めはしても、基本的にはそれ以上のことはせずに、次の採用に向けてすぐに動きます。辞める場合にはそれ以上の引き止めを受けず、シフトにも入らないようにしてください。
バイトは初日で辞めないのが一番いい
バイトを初日で辞める時に知っておきたい知識を紹介してきましたが、当然ながら一番いいのは「バイトを初日で辞めてしまわない」ことです。続けていけることが一番ですし、どんなところでも最初は不安が多く、慣れてしまえばどうということもないことも多いものです。最初のバイト選びの時点で、できるだけバイト先の様子を確認して、慎重に選ぶことが、余計な気苦労や手続きをしないで済む最良の方法です。
参考文献