塾講師の仕事内容とは?受験シーズンは大忙し体験談10選

塾講師の仕事内容について体験談をもとにまとめました。塾講師はアルバイトでも経験している方が多いですが、正社員の場合はどんな業務を行っているのでしょうか。経験者の声を参考に、勤務形態ややりがい・魅力、苦労話について触れていきます。

塾講師の仕事内容とは?受験シーズンは大忙し体験談10選

塾講師の仕事内容や勤務形態を徹底解説!

大学生のアルバイトの中でも経験者が多いのが塾講師の仕事です。皆さんの中にもやったことがあるという方はいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、正社員の場合はアルバイトとはまた違った業務を担うこととなります。今回は正社員で塾講師の仕事を経験した方々から仕事内容や勤務形態、仕事のやりがいや魅力、大変なことについてお話を伺いました。教育関連の業界に興味をお持ちの方は、ぜひ参考にしてみてください。

塾講師の主な仕事内容

ペンでホワイトボードを指す塾講師

指導を行う学年や年齢層はその塾によって異なりますが、塾講師が担う主な仕事内容としては、主に以下のような業務が挙げられます。

  • 生徒への学習指導・質疑応答
  • 教材づくり
  • カリキュラムの作成
  • 生徒・保護者との面談
  • 電話応対
  • アルバイト講師のシフト作成
  • 他の講師の授業見学
  • 後輩講師への指導・アドバイス
  • 教室内の清掃・掲示物の整備
  • 広告チラシ折り
  • ポスティング

授業やカリキュラム・教材の作成などといったことがメイン業務だと思われがちですが、実際はアルバイト講師のシフトを組む事務作業や保護者へのクレーム対応など多岐にわたります。
また、毎月の入会者や講習会参加者のノルマ達成のため、営業活動を行うことも塾講師の大切な仕事です。

塾講師の勤務形態・休日

塾講師の仕事は生徒の学校が終わってからとなりますので、朝が遅いのが基本です。「13:00~22:00」「15:00~22:00」など、昼過ぎからの勤務が主となりますので、夜型のライフスタイルになることは免れないでしょう。
なお、事前研修や会議などがある場合は10:00には出勤し、帰りは23:30頃になることもあります。

休日については日曜日が休みで週休2日というケースが多く、少なくとも月に4日、多いところでは10日ほどです。祝日が休みのところもあれば出勤というところもあったりと、その勤務先の塾によって大きく異なります。

塾講師として働くことを視野に入れる場合には、自分がどういった働き方をしたいのか、また、その塾で自分の希望を通せるのかという点を考慮すべきでしょう。

塾講師の仕事のやりがいや魅力は?

人差し指をたてるスーツ姿の男

やはり、生徒の成績が上がったり第一希望の学校に合格できたりと、それまでの頑張りが最後に報われる瞬間というのは塾講師冥利に尽きるというものです。
生徒から「好きな先生」「わかりやすい先生」と指名されたり、「先生に教えてもらえてよかった」なんて言葉をもらえることも仕事のモチベーションアップにつながります。

また、受け持つ生徒によって苦手分野や得意分野、理解するスピードはそれぞれ異なります。それだけに講師側はその生徒一人一人に合わせた教育スキルを必要としますが、その役目を担うことにやりがいを感じるという方の声もありました。

塾講師をしていての苦労や大変なことは?

毎月講習会や定期テストなどの行事があり、特に受験シーズンには個別に質問を受け付けるため非常に忙しくなります。自分の時間を取るのが難しく、休日なのに仕事に追われているなんてことも少なくありません。

それでも、受験という生徒の人生における一大イベントに関わる仕事ですので、生徒にいかに飽きさせず勉強を続けさせるか、理解しやすい授業ができているかを常に意識する必要があります。それだけ塾講師は神経をすり減らす責任重大な仕事とも言えます。

また、入会者数や講習会への参加者のノルマを課されているため、そのプレッシャーを強く感じている塾講師の方も少なくありません。中には「生徒が増えるに越したことはないものの、人数が多くなるほどカリキュラムの作成や授業の準備に苦労する…」という声もありました。

さらに、生徒と保護者の意見が食い違った場合には、両者の板挟みとなってそれぞれのニーズをどう満たすのかを常に考える必要があります。保護者からの「うちの子の成績が上がらない」といったクレームにも対応しなければなりません。

塾講師になるには?

生徒に勉強を教える塾講師

塾講師になる最低条件として挙げられるのが、大学を卒業しているということです。特に有名大学の出身であれば、やはり生徒や保護者に対する大きなアピール材料となることは間違いありません。
塾講師になるには、以下の3つのルートを辿るのが一般的です。

塾講師になる3つのルート

  • 大学在学中に他の企業と同様に採用試験を受ける
  • 他の企業から中途採用試験を受ける
  • アルバイトから正社員登用制度を利用する

まず一般的なルートとなるのが、大学在学中に一般的な民間企業と同様、就職試験を受けるというものです。多業種からの転職を検討する場合には、中途採用として塾講師を目指すこともできます。

また、大学在学中から塾講師のアルバイトを続けているのであれば、その経験は非常に大きな強みとなります。非正規雇用から正社員登用制度を利用するというのもひとつの選択肢でしょう。

学習塾業界の現状

学習塾で勉強をする子供たち

平成29年5月時点に経済産業省が発表した「特定サービス産業動態統計調査」によると、近年の深刻な少子化傾向にもかかわらず、学習塾の売上高、受講生数、事業数、従業者数および講師数はいずれも増加の一途をたどっています(注1)。

しかし、少子化の影響を考慮すると顧客層は限られているというのは紛れもない事実であり、業績を伸ばしている企業とその他の企業とで二極化の様相を呈しています。教育へのニーズが多様化している現在、事業者側がいかに対応していくかが重要となるでしょう。

塾講師は個別指導と集団指導の2パターンで指導する

塾で行われる学習指導には個別指導集団指導の2パターンがあります。それぞれの特徴は以下の通りです。

個別指導の特徴

  • 生徒数は1~3人
  • 生徒に合わせた指導が可能
  • 個別質問に応じてもらえる
  • 指導時の服装はスーツか私服

集団指導の特徴

  • 生徒数は約15人
  • カリキュラムに沿って指導を行う
  • 同学年の仲間がいるため生徒のやる気向上につながる
  • 指導時の服装はスーツが基本

社団法人全国学習塾協会が平成16年度から平成21年度までに調査したアンケートでは、個別指導のみを行っている事業者が18.5%、集団指導のみを行っている事業者が14.8%、個別指導と集団指導のどちらも行っている事業者が66.7%というデータが発表されています。

塾講師の経験者から聞いたお仕事体験談

黒板と塾講師

20~30代の塾講師経験者から、仕事内容や勤務形態、仕事の魅力や辛かったことなどをリサーチしました。正社員としての塾講師を目指している方はぜひ今後の就職活動、転職活動に活かしてください。

20代塾講師経験者の声

学習塾の現場から

orange(28歳 事務職)


勤務時間は15:00~22:00まで、休日は月に6回程度、年80日程度の休みをいただいています。

教務主任として採用していただき、主に生徒の授業を行ったり、また他の先生が行なっている授業を見学し、必要であれば補習を行なっています。また、生徒の学習進度に合わせた教材づくりも合わせて行なっています。

個別指導の塾なので、生徒のニーズと保護者のニーズを満たす必要があり、場合によって生徒と保護者の意見が分かれることもあり、その中立をする必要があります。

これまでの塾のイメージでは進学を重視することが多かったと思いますが、これからは1人ひとりのニーズに合わせた授業を行うことが大切になると思いますし、また、そこに塾としての新たな役目があると思っており、大変やりがいを感じています。

塾講師の経験

にほ(27歳 事務職)


勤務時間は13:00~22:00です。休日は毎週日曜日と月末29日か30日、または31日で、月に6日~8日程度でした。

仕事内容は日々の授業はもちろんですが、教材の発注やアルバイト講師のシフト作成、生徒募集のための広告の発注、保護者対応などいろいろな仕事をしていました。

毎月の生徒の入会者数のノルマや、夏期講習などの売上のノルマなどが設定してあり、それをクリアしていくのが大変でした。また、生徒数が増えると授業の準備やカリキュラムを作るのも時間がかかり苦労しましたね。

それでも生徒の成績が上がったり、志望校に合格してくれると塾講師をしていて良かったなと思いました。

全員合格を目指して

たぬき(29歳 講師)


塾では午後2時から午後10時30分位まで仕事をしていました。私が勤めていた塾は、基本的に土曜日と日曜日が休日でした。定期試験前や受験シーズンでは、土曜日や日曜日に対策授業などを行うので、他の曜日に休む事もあります。

塾の講師の仕事では、中学1年生から3年生までの英語と数学を指導していました。

個別指導とクラスの授業を受け持っていたので、学習内容の事前準備が大変でした。クラスの授業では、生徒全員が理解できているのかを確認しながら学習を進めていきます。

塾講師でしていて嬉しかったことは、受け持っていた生徒が第一志望校に合格できた時です。親子揃って挨拶に来てくれることが多く、嬉しそうな笑顔を見るとこの仕事をしていて良かったと常々思いました。

人のために一生懸命になれる仕事

あゆみ(24歳 講師職)


勤務時間は定時は13:00~22:00でしたが、やはり事前研修や会議等々で10:00には出勤、退勤時間は11:30くらいになります。勤務時間のうち、約6時間は生徒と話したり授業をしたりといった時間なので、拘束時間の割には1日が立つのが非常に早く感じます。休日は月に8日~9日で祝日は関係ないです。

仕事としては、授業がまず一番に出てきますが、新しい生徒を獲得するための営業や、通っている生徒の保護者への連絡などが主です。小学校・中学校の校門前で塾名の記載されたクリアファイルなどを配布して営業をし、帰ってきては保護者へお子さんの昨日の授業の様子を連絡し、補修に来た生徒の相手をするというのがル―ティーンです。

大変なことは、人を相手にする仕事なので気を抜かず言葉に気を付けながら生徒目線に立ちつつ授業をし、勉強をしっかりさせて飽きさせずに授業を聞かせることだと思います。

この仕事の良いところは、一年間の頑張りが最後に受験結果として帰ってくるところだと思います。生徒の人生に少しでも関われたことが何よりも嬉しく感じます。

塾講師の生活スタイル

mas53(28歳 講師職)


私が勤務している塾の標準勤務時間は13:00~22:00です(このうち授業は6時間)。完全週休2日制であるため、休日は月に8日~10日です。

業務内容は、授業はもちろん、保護者面談や後輩講師の指導、その他清掃などの雑務といった業務も行います。

生徒は学校が終わってから塾での授業となるため、夕方から夜にかけてが主な授業時間となり、生活スタイルが夜型となること、基本的に授業の準備は業務時間帯以外に行うことになるというのは大変です。

しかし、やはり指導している生徒の成長を目の前で見ることができた時は塾講師をしていて良かったと心から思えます。

30代塾講師経験者の声

責任感とやりがいあります!

☆K☆(34歳 主婦)


塾講師の始業時間は13時と遅く、午前中はのんびり過ごせますが、授業が終わるのは21時半、そこから事務処理をするので、仕事終わりに遊びに出かけることはほぼありませんでした。生徒の学校が終わってからの仕事なのでしかたありませんが。日曜はお休みでしたが、イベントの日や試験期間は出勤でした。

授業準備の合間にはチラシ折りやポスティングに駆り出されることもあります。受験シーズンは補講をしたり個別に質問を受け付けたりと、とにかく忙しくて大変です。

受け持った生徒の学力が目に見えて上がったり、試験で良い結果が出たときに、一緒に喜べるのはもちろん、自分自身も達成感を味わえるのが塾講師の醍醐味ですね。

塾で働くのは楽しいです

アクアフレッシュ(35歳 講師職)


勤務時間は月曜日から金曜日までが14時から22時。土曜日は14時から20時まででした。途中休憩時間が1時間設けられています。休日は日曜日と祝日のみなので、月に4日~5日程度ですが、GWや夏休みといったまとまったお休みもありました。

やっていた仕事は主に生徒への学習指導ですが、カリキュラム作成やプリント作成も行っていました。生徒募集の時期はチラシを配るなどの営業活動も行っていました。

仕事としては生徒と話をしたりするときなど、子供の成長を直に感じることができるので、とてもやりがいを感じるのですが、受験など人生に関わるお仕事でもあるので、その分責任の重さを感じるというところでは大変でした。

塾講師として一番よかったなと感じるのは、先生に教えてもらえてよかったという言葉をもらえる時は本当にうれしいです。

生徒と会話をする塾講師

塾講師のメリットとデメリット

マノ(31歳 総合職)


10時から21時か13時から23時で働きます。週に2日の休みはありますが、そこに体験授業などのイベントが入ると休みではなくなります。勤務時間もその前に来て予習したり教材を作成したりと準備することに追われます。

仕事は教える他に、営業と教えるための準備といったことに追われます。仕事で大変なことは、人が入れ替わっていく中でも生徒数を確保し続けることにあります。そして、確保するために勤務時間外も保護者対応に追われることにあると思います。

お休みの日も仕事をしていることはよくあることですし、それが普通になってしまいます。自分の時間を取れないというのが悩みではありますが、それでも凄く感謝される仕事ではあるので非常に励みにはなります。

塾講師をしていたときの感想

オラフ(32歳 会社員)


私は過去に塾の講師の正社員として働いていました。勤務時間は11時から20時で週休2日制でした。

生徒達の前で参考書の解説や質疑応答をします。わかりやすく教えるために講義前に一旦リハーサルをします。これは、業務時間に含まれないので給料は発生しません。

また、受験生で成績が上がらないと親からクレームが入ることがあります。講義が終わってから質問する生徒が多く、定時時間が過ぎても答えなければならずサービス残業になってしまいます。

しかし、生徒にわかりやすいと言われたり好きな先生に指名されたりすると、とても嬉しい気持ちになります。

やりがいがあります

ヨッシー(35歳 会社経営)


過去に塾講師として働いていた経験について書かせていただきます。まず勤務時間ですが、13時から22時くらいです。休日は月に4日くらいです。

塾講師の仕事内容については、教室管理全般となります。日々の授業はもちろんのこと、新規生徒獲得のための営業活動なども含まれます。

仕事で大変なことは、年間通してとにかく忙しいことです。毎月定期テストや講習会など何かしらイベントがあるので、本当に忙しい日々を過ごすこととなります。

塾講師をしていて良かったと思うことは、子供たちの成長が間近で見られ、人の役に立っていることが実感できることです。

塾講師の仕事は「感謝」が大きなやりがいに!

塾講師は多くの生徒やその保護者を相手にするサービス業であり、「教えるのが上手」なだけでは上手くいかないのがこの仕事の難しいところです。この両者への対応に悩んでしまうことも多いですが、塾講師の仕事のやりがいは生徒や保護者からの感謝から生まれるものでもあります。

塾の先生になってみたいという方は、授業における教育スキルだけではなく、コミュニケーション能力や営業力をしっかりと身に着けておくと活躍の場がより広がることでしょう。