歯科衛生士になりたい
歯科医院には「歯医者」と「歯科助手」と「歯科衛生士」という職業に就いた方が働いています。歯医者は虫歯をゴリゴリ削ったり、時には麻酔を打ったりするので分かりやすいですが、歯科助手と歯科衛生士は制服も似ているためパッと見では分かりません。医師の治療の手伝いや思考の除去といった歯科治療の助手を行っている人とそうでない人がおり、「歯科衛生士」という資格を持っていないと口腔内に触れないのです。
多くの女性が就いている仕事ですが、最近は男性の歯科衛生士も増えている昔から人気の高い職業です。しかし、誰でも簡単に歯科衛生士になれるわけではありません。今回は人気の歯科衛生士について仕事内容や資格取得の方法、歯科助手との違いといったことを紹介します。
歯科衛生士になるには資格が必要
口腔内の健康を保つ歯科衛生士になるには「歯科衛生士国家資格」を取得しなくてはいけません。国家試験の受験資格や試験の合格率などをまとめました。
歯科衛生士の受験資格
歯科衛生士の資格は厚生労働省が監督官庁となっており、厚労省と文科省が認定した歯科衛生士養成課程のある学校に3年間通わなくはなりません。歯科衛生士の資格を取るための学費ですが、3年間で平均200万円から300万円です。
働きながら資格を取りたいという人もいるかとは思いますが、歯科衛生士資格のための勉強はインターネットを使ったいわゆる通信教育という方法はいまのところ対応していません。しかし、夜間に開業している学校もあるため、昼間は働き、夕方から講義に出席して単位を取得し、卒業するという方法があります。
歯科衛生士試験
歯科衛生士国家試験は1年に1回、3月に、北海道、宮城県、千葉県、新潟県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県と10道府県で行われます。出願を提出する期間は概ね、受験する年の1月初旬から中旬の間に、財団法人歯科医療研究振興財団に提出することになります。平成29年の受験手数料は14,300円でしたので多少前後することはあるでしょうが、15,000円弱と考えてかまわないでしょう。
合格発表は一般財団法人歯科医療振興財団および厚生労働省に受験地、受験番号が毎年3月末掲示されます。また、厚生労働省のサイトにも受験番号が掲載されています。ちなみに、歯科衛生士国家試験の合格率は、毎年95%前後と非常に高くなっています。
歯科衛生士の就労先とは?
歯科衛生士の就職先としてイメージされるのは、やはり歯科診療所です。実際厚生労働省が平成28年に発表したデータによると、歯科診療所が90.6%を占めています。
しかし、残りの約10%は診療所以外で勤務しており、大学病院や総合病院などの病院が5.1%、市区町村が1.6%となっています。
歯科衛生士と歯科助手の違いとは?
歯科衛生士とよく混同されがちな職業として「歯科助手」がありますが、この2つは似ているようで大きく違っています。ここからは、歯科衛生士と歯科助手の違いについて解説します。
1 資格の違い
歯科衛生士は歯科医師の診療・治療の補助を行うため、資格が必要となります。歯科衛生士国家資格は厚生労働省が監督官庁となっており、歯科衛生士法に基づいています。
歯科衛生士に対し、歯科助手には公的な資格というものがありません。民間資格は数種類あり、数か月から1年で資格を取得できますが、あくまでも民間資格ですので就職等では有利に働いても、実際の業務に資格は必要ありません。
2 業務内容の違い
歯科衛生士の業務内容は歯科衛生士法によって「歯科診療補助」「歯科予防処置」「歯科保健指導」と規定されていて、基本的にはこれらの業務が中心です。それに対し、歯科助手は歯科診療行為が出来ないことが法律上規定されており、仮に違反した場合は罰則を受けることになります。
簡単に言うと、歯科衛生士は患者の口腔内を触っての治療補助を行えますが、歯科助手は口腔内に直接触れません。そのため歯科助手の業務は主に、受付・事務・片付け・清掃といった、医療業務以外になります。
3 給与の違い
国家資格を持つ歯科衛生士は歯科医院にとっては必要不可欠な存在ですので、その分給与は歯科助手に比べると高額となっています。
勤務先によって給与額に違いはありますが、歯科助手が正社員として働いた場合の平均年収は250万円から300万円程度に対して、歯科衛生士の平均年収は330万円から350万円程度となっています。
歯科衛生士の仕事内容とは?
平成28年末に厚生労働省から発表された統計によると、日本全国の実際に働いている歯科衛生士は12万3831人にも上ります(注1)。実際に歯科衛生士のお世話になっている人も多いですし、仕事内容に関してもある程度のイメージはできますが、実際にどのような業務を行う職業なのかハッキリ分かっていない方は少なくないでしょう。この項では歯科衛生士の仕事内容を大きく3つに分けて紹介します。
1 歯科予防措置
歯科予防措置を簡単にいいかえると、「むし歯」と「歯周病」の予防措置になります。多くの国民が罹患しており、元々持っている自分の歯を失ってしまう主な原因となっています。
さらに歯は食物を噛み砕いて消化しやすくするために大きな役割を果たしていますが、疾患等により歯がもろくなったり無くなってしまうと、人間の生活に必要な栄養がうまく取り込めなくなる原因の一つにもなります。また、高齢化か進む現代では、高齢の方が物が噛み砕けず、喉つまりなどの大きな事故につながってしまうケースもあります。
逆にいえば「むし歯」と「歯周病」予防できればより長く・多く自分の歯を保てるので、健康な生活を続けるための大きな要素となります。歯科衛生士は、歯や口腔の予防処置の専門家として「薬物塗布」や「機械的歯面清掃(歯垢や歯石を機械で除去すること)」を行えるので、歯の健康を保つお手伝いができます(注2)。
2 歯科診療の補助
平成28年度厚生労働省発表によると、歯科衛生士の9割が歯科診療所で働いています。歯科診療所で患者の治療を行うのは、当然国家資格を持った歯科医師です。しかし、歯科医師1人では歯科診療・治療は出来ません。内科や外科といった他の医療と同様に、歯科もチーム医療なのです。
歯科衛生士の仕事は多岐にわたっていますが、何より大切なのは患者と歯科医の間に立ち、コミュニケーションの橋渡し役になることです。歯科診療には患者と医師の信頼関係が大変重要となるため、歯科衛生士は患者の訴えを歯科医師に正確に伝え、医師の指示を受けて診療の補助を担う大切な存在という事になります。また、歯科治療は口腔内という限られた狭い空間での治療となるため、神経を使う仕事でもあります。
3 歯科保健指導
「むし歯」や「歯周病」は生活習慣病の一つと捉えられており、治療よりも予防が大変重要となってきます。そのために行う指導を「歯科保健指導」と呼び、高齢化が進む近年特に重要視されています。歯の磨き方や食生活の改善などがこれに当てはまり、同じく病気の予防を目的とした「歯科予防措置」よりも生活に密着した予防措置を行うことで歯、ひいてはその人の健康を守ります。
歯科保健指導が必要な人は高齢者だけでなく、幼児や持病を持っている人・障害者など広い範囲に渡っており、寝たきりの人や介護を要する人を介助する方に対する指導業務も大切です。
歯科衛生士になるには試験に合格する必要がある
歯科衛生士は歯科助手と違って国家資格が必要な職業になるため、試験に合格して資格を取るまでにはある程度の時間と努力が必要です。しかし資格を取得すると一生活用できるので、非常に有益です。歯科衛生士の資格を取得して、活躍の場を広げ人々の健康を守るお手伝いをしてみませんか。