夫の単身赴任はメリットとデメリットを比べて選択する
単身赴任のメリットとデメリットを考えることは、夫に転勤の辞令が会社からくだった際に、家族と一緒に引っ越しするかどうかを決定する大きな判断材料となります。夫が単身赴任をするか迷う人のために、メリットとデメリットの双方を検討します。
単身赴任の可能性が出てきたらメリットとデメリットを考えてみよう
全国に支社や事業所を持つ会社で働いている人にとって、転勤の辞令はいつくだってもおかしくない話です。独身の場合は、慣れない土地へ行く不安はあるものの、自分の身一つで引っ越しできるので迷いやしがらみは少ないといえるでしょう。
しかしながら、すでに結婚していて家族がいる場合は話が変わってきます。単身赴任を選ぶか、家族一同で引っ越しをして一緒に暮らすことを選ぶか、いつの時代も大変悩ましい問題です。この記事では、一般的に最も多い、夫に転勤の辞令がくだった場合を例にとって、単身赴任について検討していきます。
単身赴任を選ぶメリット
転勤に家族を連れて行かず、単身赴任を選ぶことのメリットはどのようなものがあるのでしょうか。
家族の生活に影響が少ない
転勤に合わせて家族みんなで引っ越しをするとなると、当然ながら家族全員の生活に影響が出てきます。妻が仕事をしている場合は、退職してついていかなければならないということです。残念ながら、これまで築き上げてきたキャリアを捨てることになってしまう人も多いでしょう。
子どもがいる場合には、子育てを手伝ってくれる親戚がいない土地へ行くことになると、生活スタイルを大きく変える必要が出てきたり、精神的な負担が増えたりします。単身赴任であれば、家族の生活に対する影響が最小限に抑えられるという点が大きなメリットとなります。
子どもが転校しなくてよい
家族で引っ越すと、子どもの生活への影響も大きいです。通っている幼稚園や学校を転園・転校することになります。せっかく仲良くなってきた友達とお別れすることになり、新しい学校で一から人間関係を作るのは、大人が想像する以上に子どもにとって大変なことでしょう。
さらに、元の学校と転校先の学校の授業の進むスピードが違うと、子どものとまどいも大きくなります。そのような負担を強いることを避けたい場合は、やはり単身赴任を選ぶほうがよいといえます。
マイホームを購入できる
転勤が多い人にとって、マイホームを購入するかどうかは大変悩ましい問題です。転勤の辞令がくだるたびに家族で引っ越しをすると、マイホームを購入することは考えられません。転勤が多いとはいえ、落ち着けるマイホームを持ちたいと考える場合は、単身赴任一択となります。
いずれ本社や特定の支社に落ち着けることが決まっている場合はその地域に、転勤が続く場合は夫婦どちらかの地元にマイホームを構える人が多いでしょう。単身赴任をしながらも、長期休みに“我が家”に帰ってこられることは、日々の仕事の励みにもなり、力を与えてくれるはずです。
一人の時間を確保できる
結婚して家族を持つと、一人の時間を持つことがなかなか難しくなります。単身赴任という機会を利用して、集中して資格試験の勉強をしたりするなど、自分のことに時間を使うのもよいでしょう。
家族との時間を大事にできる
「一人の時間を確保できる」というメリットと表裏一体になりますが、単身赴任で毎日離れて過ごしているからこそ、家族と一緒にいられる時間を貴重に思って大事にできるようになります。離れてこそお互いの大切さが身に染みてわかるということです。電話や手紙で頻繁に連絡をとったり、会える時間を大切にしたりすることで、家族の絆がいっそう深まるはずです。
家族を呼んで観光できる
発想を変えて、単身赴任を思う存分利用するのはいかがでしょうか。縁もゆかりもなかった土地にせっかく住むのだから、日頃から観光地やグルメスポットをしっかりチェックしておき、長期休暇になれば家族を呼び寄せて案内するといった楽しみ方もできます。
転勤もなく、家族全員がずっと同じ場所で暮らしていれば訪れることもなかった土地に縁ができて、家族で思い出を作ることができるなら、「単身赴任も悪くない」と思えるかもしれません。
単身赴任を選ぶデメリット
単身赴任をするかしないかの選択をするためには、デメリットを知ることが欠かせません。単身赴任を選ぶデメリットはどんなことでしょうか。
生活費がかかる
単身赴任は、会社から家賃補助などがあったとしても、家族と単身赴任者本人の生活の場が違うことで二重に生活費がかかってくることは否めません。食費や光熱費がそれぞれにかかってくることは、家計にとって大変ありがたくないデメリットであるといえるでしょう。家族に会いに行くための交通費も痛い出費となります。単身赴任において、生活費や交通費をいかに抑えるかは、大きな課題となってくるでしょう。
食生活が乱れる
単身赴任になって、急に一人暮らしになると、特に男性は食生活が乱れる人が多いです。コンビニ弁当や総菜を買ったり、外食に行ったりするなど、毎日の食生活がジャンクなものになりがちです。そのような生活が続くと健康を害するのは明らかなので、単身赴任に出発する前に簡単な料理を教わったりするなど、食生活をできるだけ乱れさせないための努力をする必要があるのもデメリットといえます。
子どもとの関係性が希薄になるおそれがある
子どもがまだ幼い場合は、単身赴任のため父親が長く家を空けて久しぶりに会うと、親子の感覚を取り戻すのに時間がかかったり、よそよそしい態度で懐きにくくなったりするデメリットがあります。できるだけ頻繁に連絡を取り合って、学校での出来事を聞いたりするのがよいでしょう。
緊急時・災害時に家族と離れている
日本は特に、地震や大雨など、自然災害が多い国です。どの地域に住んでも、いつ何時どのような災害が起こってもおかしくありません。自然災害に遭わなくても、家族の誰かが事故に遭ったり、急病になったりすることもあり得ます。
そのような緊急事態に陥っているときにそばにいないということは、すぐに駆け付けたり、家族の安否確認をしたりするのが困難になります。これは単身赴任を選ぶことの最も大きなデメリットであるといえるかもしれません。
単身赴任の前に、緊急時・災害時にどのように連絡を取り合うのか、どこで落ち合うのかなどを、家族と事前に話し合って決めておくと安心でしょう。
単身赴任中の生活の質を上げるポイント
家族と離れて単身赴任生活を送ることは、家族と会えない心細さやもどかしさがあってストレスがたまってしまったり、食生活が偏って体調を崩しがちになったりするおそれがあります。そのような単身赴任中の生活の質を少しでも上げるためには、どのようなことに気を付ければよいのかをご提案します。
映画を見に行くなど一人時間を充実させる
家族を持つ身としては貴重な一人の時間をとりやすいのが、単身赴任のメリットの一つです。誰に気兼ねすることもなく、趣味を楽しんだり、ゆっくりと読書をしたり映画を見に行ったりして、気分転換を図るのがおすすめです。
SkypeやLineでビデオ通話する
現在は、SkypeやLineなどのコミュニケーションツールが発達し、たとえ海外であっても無料で気軽に通話することができるようになりました。また、通話だけではなくビデオ通話の機能を使用することもできます。
離れて暮らしていても、日常的にお互いの顔色や表情を見ながら会話ができれば、コミュニケーション不足になることもありません。慣れない土地での仕事に気を張って疲れてきっていても、家族の顔を見れば疲れが一瞬で吹き飛んでしまうという人も多いことでしょう。
週末や連休に家族と会うようにする
仕事の疲れがたまっていて、週末に休養したいときはもちろん無理をする必要はありません。そのようなときは、一人でゆっくりと休養することが大切です。もしくは、家族に単身赴任先へ来てもらって、癒してもらうのもよいかもしれません。
新天地での仕事にも慣れて、気持ちに余裕が出てくれば、赴任先の地域の観光スポットを調べて家族を案内したり、反対に家族の元へ帰省したりするとよいでしょう。「次の連休までがんばれば家族に会える」といった楽しみがあると、仕事に対するモチベーションも上がります。
単身赴任はメリットとデメリットを比べて考えよう
単身赴任のメリットとデメリットをそれぞれ見ていきましたが、どちらも一長一短であることがお分かりいただけたかと思います。そのときの家族の状況や、子どもの年齢によっても、単身赴任を選ぶべきか否かの結論は変わってくるでしょう。
赴任期間が何年になりそうなのかを念頭に置いて、家族それぞれがその間にどのようなライフイベントを予定しているのか、この先どのような生活を実現したいと思っているのかをよく家族と話し合い、単身赴任について検討する必要があるといえます。家族全員が意見を出し合い、後悔のない選択をめざしましょう。