ビジネスでトラブルを起こしてしまったら始末書を書かなければならない
日常生活で何か失敗してしまったりトラブルを起こしてしまった時は、口頭で謝ったり、メールなどで謝罪の言葉を送る人が多いでしょう。しかし、このミスやトラブルが会社に対して損害をもたらすものであった場合、口頭やメールなどでの謝罪では済まされません。
会社に所属する者として、直接的に会社に損失をもたらすようなミスやトラブルを起こしてしまった時には、会社に対し反省の意を込めた始末書を書かなければなりません。
今回は、万が一始末書を書かなくてはならない状況に陥った時のための知識として、誠意が伝わる始末書の書き方のポイントや例文を詳しくまとめました。
反省の意を伝える始末書ってそもそも何?
始末書とは、仕事上で大きなミスやトラブルを起こした際、社員が会社に対してその内容を報告し、「トラブルを起こした」という自覚とそれに対する反省を促す目的として提出するビジネス文書です。
始末書を書く必要のあるケース
- 金銭的な損失」を会社に負わせてしまった
- 社内規定に違反をしてしまった
- 会社の社会的立場におけるイメージを損ねてしまった
特に重大なトラブルと捉えられるのが「金銭的な損失」を会社に負わせてしまったときは必ず書かなくてはいけません。
その他の例としては、社内規定に違反をしてしまったときや、会社の社会的立場におけるイメージを損ねてしまったケースなどにも始末書や顛末書の作成は必要とされます。
始末書と顛末書の違い
会社にとっては「始末書」と「顛末書」の2種類があるところもありますが、この2つはほぼほぼ同じような意味合いを持つビジネス文書です。
厳密な違いとしては、始末書は起こしてしまったミスやトラブルを詫びる反省文としての意味合いが強く、顛末書は「なぜミスをしたのか」「どうしてトラブルが起こったのか」といった「理由」を説明する意味を強く持っています。基本的には、どちらも謝罪や反省の意を表す文書であることは間違いありません。
始末書には提出時期はあるの?
始末書は簡単に言うと反省文です。自分自身が会社に対して起こしてはいけないミスやトラブルを招いてしまった場合、社内規定に違反をした場合など、書かなければならないシーンは様々ですが、どの場面においても共通して言えるのは「期限が定められているか否かに関わらず、速やかに提出するべき」という点です。
顛末書であれば反省文というよりも報告書としての意味合いが強く、会社側から強制的に提出させることが可能です。一方、始末書の場合は会社によって強制的に提出させることはできません。
しかし、これは「始末書を提出しなくていい」ということではなく、自分で招いた会社に対する損失ですから、反省の意を最大限に込めて速やかに提出するのがベストです。
始末書の書き方について
働く上で、できれば始末書を書かなければならない事態は避けたいところですが、いざ始末書を書かなければならない状況になってしまった時、多くの人は始末書の書き方について知らない方は多いもの。
万が一始末書を書くときに知っておきたい始末書の書き方についてお伝えします。
始末書はパソコン?手書き?
就職活動においても、履歴書はパソコン作成なのか手書きが良いのか悩んだ方も多いでしょう。始末書の書き方で悩むのが、パソコンを使うか手書きにするかという問題です。
会社から指示があればその指示に従えばよいのですが、始末書は業務命令を出すことができないので、会社側からの指示はほとんどありません。そのため、始末書に関しては全て本人に任せている部分が大半を占めています。不安な場合は上司や先輩社員に確認してみることをおすすめします。
手書きの始末書のメリットとデメリット
なぜパソコンと手書きで悩む人がいるのかというと、実際に始末書を見た時に、手書きだからこそ見えてくるものがあるためです。手書きであれば自分の反省や謝罪の意を文字に込めることができるため、機械的なイメージのあるパソコン文書よりも温かみや人間味を感じることができます。
手書きの最大のデメリットを挙げるとすれば、やはり時間がかかりすぎるという点でしょう。手書きの始末書をキレイに仕上げるにはそれなりの時間が必要となり、一文字でも間違ってしまえば最初から書き直さなければなりません。
パソコンの始末書のメリットとデメリット
パソコンであれば、様々な書体や文字の大きさなど選ぶことができ、字もキレイで、何より作成までの時間が短くて済むので非常に効率的です。パソコンであっても手書きであってもどちらも同じ始末書として捉えている人は、おそらくパソコンで作成することを選ぶことでしょう。
パソコン作成のデメリットとしては、あまりの見た目のキレイさが無機質な印象を与え、特に年配の上司からは「反省していないのではないか」といったネガティブなイメージを持たれてしまう可能性があるという点です。
最近では始末書のテンプレートもダウンロードできるため、会社で特に書式が決まっていない場合は、テンプレートを有効活用して作成することをおすすめします。見た目も美しく、読みやすいレイアウトと文字になっているので、ビジネス文書としてふさわしい出来になるでしょう。
始末書は横書き?縦書き?
始末書の書き方のフォーマットですが、こちらも先ほどと同じように特に決まった書き方はありません。社内でフォーマットや書き方の規定などがあれば、それに従って書きましょう。しかし、特に規定もフォーマットもない場合は、パソコンで作成する時は横書き、手書きであれば縦書きにすると良いでしょう。
始末書の書き方一つで、社内での評判や見られ方が変わる可能性も大いにあります。文体としては「です・ます調」に揃えて書くようにしましょう。
始末書を書く時の構成について
始末書を書くときは、しっかりビジネス文書としての構成を意識して、簡潔に書くように心掛けましょう。下記のテンプレートの順番に従って書いていくと、スムーズに書くことができます。
始末書テンプレート
1 作成日または提出日を右上端に記入する
2 宛先を左上端に記入する(宛名は社長が基本)
3 表題(始末書)を真ん中上に記載する
4 トラブル・ミスの内容と原因、今後の対策を文中に記載する
5 「同じ過ちは二度と繰り返さない」というお詫びの言葉を記載する
6 今後の身の処し方、寛大な処置を請う旨を記載する
7 差出人の部署名と氏名を右下端に明記する
(パソコンで作成した場合においても自分の氏名は手書きで記載する)
8 名前の横に捺印をする
始末書の書き方の例文
実際に始末書を作成する際に使える例文をご紹介します。万が一、似たようなトラブル・ミスを起こした場合には、作成時のヒントとして役立ててみてください。
1 遅刻を何度も繰り返してしまった場合の始末書の書き方例文
私は●月に●回も始業時間に遅刻致しました。さらに、上司から再三の注意を受けたにもかかわらず、再び●日にも遅刻をしてしまいました。これは社会人としてあるまじき、自己管理の欠如した行為であると自覚し、深く反省をしております。
かくなる上は、二度と遅刻がないよう自己管理を徹底し、業務に専念して参る覚悟です。万一、再び同様のことを繰り返した場合は、就業規則に準じたご措置を受けましても異議の申立てをいたしません。
今後は二度と遅刻がないよう肝に銘じて参りますので、今回は寛大なご措置を賜りますようお願い申し上げます。この度の不始末に関してましては、本始末書をもちまして深くお詫び申し上げます。
2 社用車で交通違反した場合の始末書の書き方例文
私は、社用車による駐車違反を犯しました。ここに始末書を作成し、深くお詫び申し上げます。
私が駐車違反を犯したのは、●月●日に得意先に商品を納品しようと社用車を使用した際のことです。納品先の付近に駐車場がなく、車を離れる時間も15分程度だったために、納品先の前の公道に駐車をしました。納品を終えて戻ってくると、車には駐車違反のステッカーが貼られ、その後罰金を科せられました。
今後、社用車を運転する時には、駐車場が存在しない場合は駐車場案内システムを利用し、駐車場から納品先まで距離がある場合は台車を利用して運び、二度と同じ過ちを犯さないよう気を引き締めて参ります。
この度は、私の不行届きから会社にご迷惑をお掛けしてしまったこと、重ねてお詫び申し上げます。
3 社員証を紛失した場合の始末書の書き方例文
私は、会社から貸与されている社員証を紛失してしまいました。
社員証の紛失に気付いたのは、●月●日の朝、出勤前のことです。
ストラップ付のケースに入れた社員証は、いつも帰社する時にスーツのポケットにしまっています。
社員証を紛失した前の日の夜は友人と食事に出かけ、楽しく過ごしましたので、
きっとどこかで落としてしまったのだと思います。
社員証は食事をした店や駅、警察にも届いておらず、これ以上、探しようがありません。
現時点で社員証が悪用された報告はありませんが、会社に大きな損害を与えかねない行為に弁解の余地はございません。
今後はこのようなことがないように、社員証はカバンの中にしまうようにいたします。
ここに始末書を作成し、多大な心配をおかけしたことを心よりお詫び申し上げます。
この度は、大変申し訳ございませんでした。
始末書は反省や謝罪の気持ちを表すためのもの
始末書は、仕事上で犯してしまったミスやトラブルを会社に対して報告し、反省や謝罪の意を表すためのものです。多くのビジネスパーソンはこの始末書を書かなければならない場面に遭遇することは少ないでしょうが、万が一の時のために知っておくと良いでしょう。
始末書の内容にも様々あり、遅刻などの比較的小さな問題から、取引先の倒産や納品ミスなど今後の営業活動に支障をきたす恐れがあるものまであらゆるシーンで始末書が必要となります。しっかりと反省と謝罪の意を込め、再発防止につながるよう日々注意して過ごすようにしましょう。