仕事の愚痴の出し方はビジネスパーソンとしてマナーに注意せよ
仕事には愚痴がつきもの。と言っても、人間が生活していれば仕事以外にも不満はいくらでも出てくるものです。「愚痴はいらない。知恵を出せ」と社内研修でいくら言われても、そんな知恵のある賢人たちばかりではありませんから、愚痴が無くなることはありません。
しかし、愚痴の出し方によっては会社や同僚に迷惑をかけてしまったり、自分の評価を落としてしまうこともありますから、愚痴の出し方についてはよく注意するのもビジネスパーソンとしてのマナーと言えるでしょう。仕事の愚痴をまき散らさないよう、注意するべき愚痴の扱い方について紹介します。
どうしても仕事で愚痴を漏らすしかないなら4つのマナーを守る
愚痴を言わずに済めば一番ですが、それによってストレスをため込み、心身を害してしまうのは一番良くありません。愚痴を言うしかないような状況なら、せめてマナーを守って愚痴を言うよう心がけましょう。
1.仕事の愚痴を言う相手はこぼした愚痴を他の人に言わない秘密を守ってくれる人を選ぶ
たとえ上司や先輩、同期の社員だとしても、愚痴は誰にでも言うべきではありません。愚痴を言うべき相手は、普段から関係が良く、またしっかりと秘密を守ってくれる信頼できる人に限るべきです。誰彼構わずに愚痴を言う人は、周囲からも困った人と思われてしまいます。
2.誰が聞いているかわからないので仕事の愚痴は大声で愚痴らない
相手が信頼できる人であったとしても、同じ空間にいる他の人はそうとは限りません。そのため、できるだけ声を荒げてしまったり、大声にならないように注意して愚痴を言いましょう。愚痴を言いたい時は、できるだけお店などもBGMが流れていたり、席の間の空間が広いお店を選んで、愚痴の内容が外に漏れるリスクを下げるようにしましょう。お酒が入っているとついつい言葉も過激で、声も大きくなりがちなので注意してください。
3.まとまりがない愚痴は聞きたくない!仕事の愚痴は5W1Hに沿って話す
愚痴を聞いている人が苦痛を強く感じるケースは、話にとりとめがなく、共感すらできないケースです。愚痴を言っている方も、相手が全く共感してくれないとそれもストレスになってしまいます。こうした問題にならないように、愚痴を話す際も、いつ、誰が、どこで、何を、なぜ、どのようにしたのかということをちゃんと話すように意識しましょう。まとまりのない愚痴は、鬱憤ばかりが募って誹謗中傷になってしまうこともありますが、愚痴も内容を整理することで言うべきでない言葉を慎むことができるようになります。
4.「愚痴を言います」と宣言して愚痴であることを認めてから話す
愚痴を愚痴として言いたいのであれば、話す内容が愚痴であることを自ら認めるべきです。「言っても仕方のないことだとわかっているんだけどさ、」などと前もって宣言しておくと良いでしょう。相談と愚痴も違いますので、相談なら相談だと最初に断っておくべきです。
また、自分の方が正しいという前提で同じ内容を言うと「批判」と取られてしまうこともあります。批判に対しては、聞いている側が解決策を提案してくれるかもしれませんが、そもそも批判でなく愚痴です。愚痴は問題の解決を求めているのではなく、気持ちを受け止めてほしくてする行為ですので、せっかくの解決策の提案も負担にしかなりません。愚痴は愚痴と認めて宣言してしまった方が自分にとっても周囲にとっても楽です。
仕事の愚痴は聞ける人になるとちょっと得することがある
仕事の愚痴はできるだけ言わないのが望ましいですが、もしも仕事の愚痴をきけるなら、聞けるだけ聞いておくべきです。
愚痴をよく聞いてくれる人は仕事で信頼される人になれる
愚痴をよく聞いてくれる人は、それだけ愚痴を言ってくる人が安心して話せるということです。その様子や噂を聞いた周囲の人から、信頼できる人だと評価されるようになります。
仕事の愚痴をよく聞くようにすると事情通になる
愚痴の中には、普段はとても言えないような事情が入っていることも少なくありません。そのため、社内の方々の仕事の愚痴を聞いているうちに職場内の出来事について事情通になれる場合もあります。事情通のポジションになると、上司などから意見を求められることも増えますし、自分の知見以上の事を話すことができる場合もあります。
愚痴の中には仕事に役立つことが含まれていることがあるのでアイデアが増える
仕事における愚痴の中には、実は業務上のプロセスなどについて改善するべきポイントが含まれていることが少なくありません。愚痴を聞いているうちにそういったアイデアがたまっていけば、何かの機会にそれを提案することができます。提案が通ったり、着眼点が良いことで評価される可能性が増えます。
仕事の愚痴って言っても仕方がないけれど言うなら建設的な提案にしたい
愚痴という言葉は一般的に使われていますが、もともとは仏教用語で「無知のために愚かに考える心の状態」を言います。愚も痴も「おろか」という意味を持っており、正しく判断できていないことを表しています。
しかし、愚痴は今では「言っても仕方のないこと」という意味で使われるようになっていて、必ずしも愚かさから出ている言葉を意味するわけではありません。正しい提案が受け入れられなかった時に愚痴となって出てくることもあります。
建設的な提案と愚痴を分けるポイントは、内容はもちろん、発言者の態度や心理状態などにあると言えるでしょう。どこか他人事で批判的なら愚痴と判断され、自分の解決すべき問題として真剣に取り組むなら同じ内容でも建設的な提案と取られることもあります。
知っておこう!何気ない仕事の愚痴がもたらす様々なリスク
「愚痴を言うべきではない」とよく言われますが、それには当然理由があります。ストレスを発散させるために何気なく口にしている愚痴も、様々なリスクをもたらす可能性があることを社会人としては知っておくべきです。
言っても仕方がない仕事の愚痴は周囲の雰囲気を悪くする
愚痴の多くは、解決策のない「言っても仕方のないこと」です。愚痴を言っている人はストレスの発散になりますが、周りで聞いている人はどうしようもないことを延々と聞き、他の楽しい話題などもできなくなります。そのために、雰囲気が暗くなったり、感情を害してしまうことになりかねませんし、やる気をそいで仕事などに影響することもあります。
愚痴が耳に入れば大変なことに!個人の悪口と思われることもある
上司や同僚の言動に対してついつい愚痴が出てしまうこともあります。その時、愚痴の方向によっては個人に対する悪口のように聞こえてしまうこともあります。当然、聞いている人は不快に思ってしまいますし、それが愚痴の対象となっている人の耳に入ってしまえば大変なことになります。個人の悪口を言う人だと思われれば、周囲の評価も下がりますので注意する必要があります。
仕事で知った情報は外に持ち出さない!社内の機密情報が漏洩する
愚痴を言っている時と言うのは、愚痴に集中してしまいがちですが、発言の内容が耳に入るのは決して愚痴を聞いている人だけではないことに注意しなくてはなりません。居酒屋などでは、周囲の席の人にまでその愚痴が聞こえてしまっていることがあります。そのため、取引上の重要事項であったり、契約内容やリリースされていない企業の機密事項などが外部に漏洩してしまうこともあります。同業他社の同級生などがいる場で仕事の愚痴を口にするなら、大きなリスクであることを理解しておかなければなりません。
SNSや動画、インターネット上で仕事の愚痴を言うのは要注意
今はインターネット上の掲示板やSNS、動画の投稿コメントなどに愚痴のような内容のコメントを書く人も少なくありませんが、仕事上の愚痴については避けておいた方が賢明です。
オンライン上の情報は、断片的な情報であったとしてもわかる人はそこから多くの情報を引き出すことができるものです。不特定多数の人が見ることができる以上、社内の人や、ライバル企業の人が見ていることもあるということを自覚する必要があります。写真などをつける場合は、より多くの情報量がありますので特に内容に関して注意が必要です。
誰も見ていないだろうというのは自己中心的な甘い予測でしかありませんので、内容やアカウントの匿名性に十分注意しておくべきです。
良くも悪くも、仕事の愚痴に関する内容は拡散力が高く、自分の思っている以上に広がってしまってその結果望ましくない状況になることもあります。悪気が無く、インターネット上で行ってしまったことだとしても、会社や取引先などについて経済的にイメージ的に大きな損害を与えてしまった場合は、解雇などの十分な理由になることは意識しておく必要があるでしょう。
仕事の愚痴を言うなら社会人らしくマナーを守って上手なこぼし方を!
仕事の愚痴は誰にでもあるもので、時にはストレス解消や仲間意識を作るための有効な手段となります。しかし、その愚痴によるリスクもありますので、リスクを踏まえ、マナーを守った正しい仕事の愚痴の言い方を身に着けることが大切です。
社会人ですから、社会人らしいスマートな仕事の愚痴を言えるように普段のちょっとした愚痴から意識して練習しておくことが大切です。出世する人は愚痴のこぼし方も上手なのです。