お見舞いのマナーはきちんと守ろう
入院している上司や先輩、同僚へのお見舞いには行くべきでしょう。ですが、マナーを守れていないと、かえって迷惑をかけてしまうことになりかねません。相手の体調や家族のことを考えたうえで見舞いに行くことが大切です。入院しているからと言って、ただやみくもに訪ねていけばいいというわけではありませんから、どのように振る舞えばいいのかをわきまえて行動する必要があります。
ここでは、社会人として知っておくべきお見舞いマナーの基本を見ていくことにしましょう。職場の人のお見舞いに行く際の参考にしてください。
お見舞いに行くタイミングは入院してから5日後が目安
お見舞いに行くタイミングは、入院してから約5日後を目安とするといいでしょう。また、手術後からは更に間を空け、2~3日後にするのが好ましいと言えます。
患者本人がお見舞いに来てほしいと思っていても、体調が良くない時に会社の人に会うのはなかなか難しいものです。安静にしているように医師に言われている可能性もあるので、お見舞いに行ってもいいかあらかじめ家族などに聞いておくべきでしょう。
面会時間を守り、お見舞いに行くなら午後からにしよう
基本的に面会時間は守るようにしてください。面会時間外でも受け付けてくれる病院はありますが、患者である上司や先輩、同僚の体の負担を考えれば面会時間外にはゆっくりと休んでもらう方がいいでしょう。
面会時間内にお見舞いに行くなら、患者本人にゆとりができる午後が好ましいでしょう。午前中は検査などが入り、まとまった時間がとれないことが多いです。せっかくお見舞いに行っても会えないということも考えられますから、時間に余裕ができる午後に行くのがお見舞いマナーのひとつです。
お見舞いの時間は1回につき約15~20分にするのがマナー
お見舞いの時間は、1回につき15~20分程度がふさわしいです。あまり長すぎると相手の負担になってしまいますから、だらだらと居座ることのないようにしましょう。会社の上司や先輩、同僚に対してのお見舞いは雑談をしに行くわけではありませんから、気を遣うことを忘れないでください。
帰る時には、「そろそろ帰りますね」と自分達から切り出すのがマナーです。帰ってほしいなと思っても、相手は言いにくいですから、こちらが察して行動しなければなりません。相手は病人なので、長い間話しているのと疲れてしまいます。そういう点も考慮するようにしましょう。
2~3時間も無駄話を続けているような人はいないでしょうが、相手の顔色を見て疲れているようなら15分と言わずもっと早く切り上げても良いです。「お疲れのようですから、今日はこれで失礼します」と一言声をかければ問題ありません。
お見舞いに何度も行き過ぎるのは良くない
頻繁にお見舞いに行く必要はありません。あまり行き過ぎると、相手に気を遣わせてしまいます。家族とは違い、上司や先輩、同僚に対してのお見舞いということを踏まえれば、自分だけが何度も行くのではなく、お見舞いは職場の人たち数人での持ち回りで行くべきです。
入院が長引いているようであれば、週に一度は顔を出しておきたいところですが、他の人たちがお見舞いに行っているようなら、訪問日のスケジュール調整をしたほうが良いです。あまり何度も押しかけると、相手が疲れてしまいますから適度な間隔を空けてお見舞いに行くようにしましょう。
お見舞いはいつ行ってもいいというものではありません。いつ・誰が行くかなど臨機応変に調整することが大切です。また、短い期間の入院なら、お見舞いに行くこと自体を避けるべきというのがマナーなので、その点も気をつけましょう。
お見舞いに行く人数は3~4人が望ましい
お見舞いに行く人数は、原則として3~4人が望ましいでしょう。あまり大人数で押しかけてしまうと、相手に迷惑をかけてしまいます。相手は病気で弱っているわけですから、大勢で取り囲んで話すなどというようなことがないようにしましょう。
大人数でのお見舞いは、どうしても騒がしくなってしまいますから同じ病室にいる他の患者さんたちに気を遣わなければいけなくなります。お見舞い相手にバツの悪い思いをさせないようにするためにも、少人数で訪問するはお見舞いの大切なマナーであることを忘れないようにしましょう。
3~4人なら少なすぎず多すぎずで、騒がしくなる心配がなく、落ち着いて普通に会話することができるでしょう。こちらからお見舞いに行って、相手を疲れさせてしまっては何の意味もありません。そうならないためにも、お見舞いに行く人数はきちんと事前に決めておいてください。
お見舞いでは安心感を与える前向きな言葉をかけよう
会社の人のお見舞いに行った際には、「元気そうで安心しました」といったように相手を安心させられるような言葉をかけてあげることが大切です。相手は入院の心細さと闘っているわけですから、身体面だけではなく精神面でのフォローもしてあげましょう。お見舞いに来る人たちとのコミュニケーションを通じて元気を取り戻してもらうためにも、前向きな言葉をかけてあげることはとても重要です。
「あまり顔色がよくないですね」「やっぱり手術は大変だったんですね」などの言葉は相手の気持ちを暗くさせてしまうため避けるべきですし、病状のことや病気の進行具合などにも触れないようにしましょう。本人が話したくないようなデリケートなことには触れるべきではありません。
また、不用意に「がんばってください」と言うこともないようにしましょう。色んな検査を受けながら治療に励んで十分にがんばっている人に、その言葉をかけるのは重荷になってしまいます。
お見舞いでは仕事面の話をしないようにしよう
お見舞いのマナーとして忘れてはいけないのが、仕事の話をしないということです。「あのプロジェクトは今こんな風になっていますよ」「先輩がいなくても大丈夫ですからしっかり休んでください」などというように、仕事の進捗を伝えたり職場の様子を伝えたりしたくなりますが、相手は療養中の身ですから、仕事を意識させるような話をするべきではありません。
仕事のことは一旦忘れて、療養に専念してもらいましょう。仕事の話は復帰すれば否応なしにしなければならないことですから、体を休めることが第一です。ゆっくり休みたいという相手の気持ちや、病気と闘う意思を尊重して、仕事に関する話題を振ることがないようにしてください。仕事の話ではなく、何か他の話題相手との会話を楽しむくらいの心持ちでお見舞いに行くのがいいでしょう。
お見舞い品の定番はタオルや本、花
お見舞いに行く際には、手ぶらで行かずお見舞い品を持参すると良いでしょう。お見舞い品の定番としては、タオルや本などが挙げられます。タオルは入院中に使う機会が多いものですし、沢山あっても困るものではありません。入院生活が終わってからも使うことができるため、重宝するでしょう。
本は、時間を潰すのにちょうどいいものだと言えます。入院生活が長い場合などには、暇を持て余してしまうこともあります。そういった時には、読書をしたいという人も多いので、本を何冊かお見舞い品として持って行くのもおすすめです。
お見舞い品として花を選ぶ際は要注意
花も定番のお見舞い品ですが生花ではなく、プリザーブドフラワーが好まれます。水をあげる必要がありませんから手入れも楽ですし、いつまでも綺麗なままなので見た目が損なわれることもありません。
生花であれば、花瓶に入れ替えることなく飾れるバスケットにアレンジメントされたものなどが好まれます。相手が好きな花を知っていれば、それをアレンジしたものを持って行くと喜ばれるでしょう。
病室に花瓶があるかどうかわからない場合のことを考えて持って行く必要がありますし、その後の手入れのことも配慮しなければなりません。また、菊やシクラメン、椿などは昔から入院中にお見舞い品として贈るには縁起が悪い花とされています。さらに、百合のように香りが強い花も避けたいところですし、入院が長引くことを連想させる鉢植えも選ばないように気をつけましょう。
お見舞い品としてふさわしくないものを覚えておこう
お見舞い品にふさわしくないものもあるため、それらが何なのか知っておくこともマナーです。良かれと思って選んだものが、お見舞い品としてはふさわしくなかったということも十分に考えられます。
あげようと思っているものがお見舞い品に適しているかどうか、きちんとマナーに照らし合わせて考えてみましょう。ここで、お見舞い品にふさわしくないものを紹介します。
お見舞い品として上司など目上の人に現金を渡すのはダメ
お見舞い品として、目上の人には現金を贈ってはいけないというマナーがあります。ですから、入院中の会社関係の人に現金を渡すのはNGです。特に上司に対して現金を渡してはいけません。お金ではなく、他のお見舞い品を持って行った方が喜んでもらえるでしょう。
お見舞い品に大量の食べ物を持って行くのはダメ
お見舞い品と言うと食べ物を想像しがちですが、あまり大量にフルーツなどを持って行くのは避けましょう。相手が食べきれないことがほとんどですし、食事制限が設けられていれば無駄になってしまいます。お見舞い品を受け取った側が申し訳ない気持ちにならないためにも、贈る食べ物は適量を心がけましょう。
その他、お見舞い時に気をつけなければいけないのはどんなこと?
他にも、お見舞い時に気をつけたいことがいくつかありますので見ていきましょう。以下で紹介することも、お見舞い時に忘れてはいけない大事なマナーですから、しっかり頭に入れておいてください。
相手が寝ている、体調が悪そうな場合は日を改める
お見舞いに行って、相手が寝ていたり、体調が悪そうにしていたりした時は静かに帰りましょう。その時もしお見舞い品を持っていたら、家族の人などに渡しておきましょう。無理に起こしたり、自分が来たことを執拗にアピールしたりすることのないようにしてください。
何よりも尊重されなければならないのは相手の意思と体調ですから、様子を見て「今日はちょっと無理そうだな」と思ったり、体調が悪いことを伝えられたりしたらすぐに理解してください。無理に話したりすると、病状が悪化する恐れもあります。相手につらい思いをさせてしまうのでは、お見舞いをしにいった意味がありません。「後日また来ます」と伝えて、日を改めるようにするのがマナーです。
小学生以下の子どもはお見舞いに連れて行かない
小学生以下の子どもは、お見舞いに連れて行かないようにしましょう。病院は様々な病気に感染する可能性が高い場所とも言えます。特に抵抗力の弱い小さな子供にとっては危険な場所です。また、体調が優れない子どもを連れて行ったことで、病院内に菌などを持ち込んでしまう場合もあります。自分やお見舞い相手が大丈夫だと言っても、病院側が断る場合があるため、小さな子ども連れでのお見舞いはやめておいた方がいいでしょう。
また、子どもは大きな声で騒いだり走り回ったりすることもあります。騒音は病院の中でかなり嫌われるもののひとつですから、大きな声を出して騒ぐことはマナー違反行為として扱われてしまいます。
大きな声が体にこたえるという患者さんも多くいますから、そういった人たちのことも考慮して行動する必要があります。あくまでもお見舞いは病院に行き、病気を患っている人と面会するというのが目的です。お見舞い相手に限らず、他の人にも迷惑をかけてしまうことがないように、きちんとマナーを守りましょう。
お見舞いのマナーをしっかり守って、相手の心の支えになろう
入院生活の中で不安や心配なことがあり、精神的にも不安定になっている時に助けになるのが、誰かのお見舞いです。お見舞いに来てくれた人と話すことによって気分が明るくなったり、前向きな気持ちになったりする人は少なくないでしょう。
ですから、きちんとマナーを守ったお見舞いをすることで、相手のメンタル面のサポートをすることができます。入院はこちらが考えているよりもとても苦しいものですから、「お見舞いに来てくれて嬉しかった」と思ってもらい、そのことが回復の一助になるように、お見舞いを通して入院中の人の支えになってあげましょう。