退職の申し出を拒否されたらどう対応したらいい?

退職の申し出を拒否されてしまった、というケースは最近では珍しくありません。そういった場合に何の知識も持たずに何度も退職届を提出し続けても、会社は絶対に態度を変えてはくれません。あらゆる方向から退職の申し出を許可してもらうためのアプローチを行っていきましょう。

退職の申し出を拒否されたらどう対応したらいい?

退職を申し出た時に拒否された場合はどうしたら良い?

会社に退職の意思を伝えた時に、それを拒否されてしまったというケースが多くあります。そういったことが起こってしまった場合には、一体どのように対応すれば良いのでしょうか。会社の言う通りに、退職をすることを諦めなければならないのでしょうか。不安になってしまうことは避けられないでしょうが、そういったことはもちろんありません。では、どうすれば会社と折り合いをつけられるのか、考えてみましょう。

退職を拒否されたらどう行動するべき?

会社に退職届を提出しても、それを拒否されてしまった場合には何らかの手立てを考えなければなりません。自分は退職して次のステップに進もうとしているのに、会社に退職を拒否されているために先に進めないなどといったトラブルに巻き込まれてしまうなど、一刻も早く抜け出したいところです。

就業規則を確認し直そう

就業規則を手にする男性

退職を拒否されるなど、こういった時に強い味方をなるのが就業規則です。普段は読み込むことのないものでしょうが、就業規則には退職にまつわる細かい規定が書かれています。退職についての詳しい規則が書かれているようであれば、それを持ち出すことで話し合いをひとつ先に進めることができるでしょう。

退職の手続きはこのように進めるべきである、といったことが記載されていれば、それを根拠に退職拒否を覆すことができます。就業規則の持つ効力は絶大なものです。就業規則は会社にとっての法律であると言って良いものですから、退職を拒否されてしまった時にはまず就業規則の内容を確認し直しましょう。

退職届を更に上の役職の人に提出する

退職を拒否する人が直属の上司である場合には、更に上の役職の人に退職届を提出したり、退職の相談をしたりしてみましょう。退職を拒否しているのが上司だけなら、上の役職の人はまともに取り合ってくれる可能性があります

また、人事部に直接掛け合ってみるのも良いでしょう。人事部全体で話し合ってもらえたり、上司を巻き込んで話し合いの場を設けてくれたりすることも考えられます。自分が退職届を提出した人が退職を拒否したからといって、全ての道が閉ざされたというわけではありません。諦めずに別の方向からのアプローチを探しましょう。

労働基準監督署に相談する

社外の相談先:労働基準監督署、NPO法人労働相談センター、法テラス

どうしても社内で退職を拒否するという姿勢を覆してもらえないという場合は、労働基準監督署に相談してみましょう。労働基準監督署の窓口である、「総合労働相談コーナー」に退職を拒否されているということについて相談してみてください。また、この際には必ず事前に電話で予約をしてから行くようにしましょう。

労働基準監督署だけではなく、NPO法人労働相談センターでも相談を受け付けてくれます。どちらも無料で話を聞いてくれますから、退職を拒否されてどうしたらいいのかという具体的な解決策を知りたい時は一度足を運んでみると良いでしょう。

また、法テラスを利用して弁護士に直接相談することもできます。退職を拒否されていることに対して法的な措置を望むのであれば、弁護士の方から法律に絡んだお話を聞いてみるのも大切なことだと言えます。

内容証明郵便を使って退職届を提出しよう

内容証明郵便は、中身となる郵便物がいつ、誰が誰にあてて送られて送られたのかを郵便局が証明してくれるという制度です。ですから、これを退職届の提出に利用することで、退職の意思をいつ表明したかということの証拠にできます

内容証明郵便は、同じ文面のものが3通必要になります。書面の様式が細かく決められているため、送る際には注意が必要です。また、どのような内容の書類を送ったかということは郵便局が証明してくれますが、その書類の内容が正しいものであるかどうかまでは保証してくれません。つまり、そこに書いてあることが間違っていたとしても責任はとってくれないということになります。

とはいえ、退職届がいつ送られたかということがはっきりわかることは重要なポイントです。自分がいつ退職の意思を表したか、といったことが書面として残っていると、会社としては退職届を受け取っていなかったという言い逃れができなくなってしまいます。そういった点から見ても、内容証明郵便の利用はおすすめです。

直接弁護士に相談しよう

どうしても会社が退職を拒否して、こちらの意見に全く耳を貸さないのであれば、弁護士に相談するという方法をとる必要があります。裁判沙汰になる覚悟を決めて、弁護士に現状を詳しく説明しましょう。

弁護士を交えた話し合いの場を設けて、そこで会社側がどういった回答をするかに最終決断が委ねられます。そこまでしても、あくまでも退職を拒否するという姿勢を崩さないのであれば、実際に裁判に持ち込むか、話し合いを続けていく必要があるでしょう。

会社には退職を拒否する権利はないことを知ろう

会社には誰かが退職するということを拒否する権利は一切ないということを知っておきましょう。このことを知っておくだけで、これから会社に色々と文句を言われた時に自分の中で強い気持ちで闘っていくことができることは間違いありません。

会社に労働者を引きとめる権利はない

退職届を提出すると、会社は間違いなく引きとめてくるでしょう。絶対に退職は認めない、断固拒否する、といった姿勢を見せてくるのです。ですが、引きとめにあってもそれを無視して構いません。退職届を正式に提出した以上、こちらには会社に残留するという意思がないことは明らかに伝わっているからです。

手にした退職届に伸ばされる誰かの手と、拒否する男性

それでも今までよりも待遇を良くするから、といった甘い言葉をかけて引きとめてくる場合もあります。そういった場合も、自分はどうしても退職をするのだと意思を貫き通してください。また、逆に引きとめの言葉がパワハラに近いものであれば、それを録音しておくことをオススメします。のちに弁護士を雇ったり、訴訟を起こすことになったりした場合に、証拠として利用できるものはひとつでも多い方が良いでしょう。

労働者には職業選択の自由がある

そもそも労働者には、職業選択の自由があります。自分がどのような職業に就いて、どのように働いても良いと法律で保障されていますし、その権利を害することは誰にもできないのです。ですから、退職を拒否するようなことは雇い主であったとしても絶対にできません。

労働者は会社の持ち物ではありません。働きたいように働くことができるのです。それを忘れて退職を拒否するなどといったことを強行しようとする会社には、決して屈しないようにしましょう。退職を拒否されても、自分には職業を選択する自由があるのだということを忘れないでください。

会社に退職を拒否されたら損害賠償を請求される?

会社を退職するなら、損害賠償を請求するという悪質な退職拒否の手口もあります。ですが、これは絶対に支払うことはありませんし、過去に実際に支払われたというケースはありません。ですから、全く気にする必要はありません。

退職をするなら賠償金を支払うというのは、全く筋が通っていない論理です。雇用契約にもそんな話は書いていなかったでしょうし、なぜこちらが会社に対して賠償する責任が生じるのかという理由もわかりません。おそらく納得のいく説明もされないでしょう。

そういった脅しには屈することなく、淡々と退職の話し合いを進めていきましょう。こちらが冷静であれば、拒否しても意味がないことをわかってもらえる可能性は高くなります。

退職にまつわる仕組みを知ろう

退職を拒否された時、知っておきたいのは退職に関する知識です。何も知らない状態では、会社に振り回されてしまって結局退職を拒否されてうやむやになってしまうばかりです。ですから、退職についての知識はある程度持っておいた方が良いでしょう。

退職の意思は口頭よりも書面で伝えよう

退職届を突き出す男性

退職の意思は、実は退職届のような書面を使わなくても問題はないのです。何日付で退職します、と伝えて、それで了承がとれれば退職することができます。

ですが、退職を拒否するような会社が口頭での意思表示を了承するはずがありません。退職をしたいと願い出たい場合は、書面を通じて意思を伝えた方が良いでしょう。その方が影響力がありますし、のちに証拠として利用することもできます。また、しっかりとした意思があるのだな、と関係者に思ってもらうこともできます。

口頭ではいつ発言したのかもわかりませんし、最初に拒否された日付もわかりません。また、どの程度真剣に発言していたのかがわからなかった、と言われてしまう可能性もありません。会社側からの言い逃れの種を作ってしまうことにもなりかねませんから、ここはやはり退職届を提出しましょう。

退職届と退職願は違う

退職届と退職願はそれぞれ違うものです。退職届は絶対にこの会社を退職します、という強い意思を持って提出するものであり、撤回することはできません。一方で、退職願はその名の通り、退職を願い出るためのものであり、こちらは却下することができます。

ですが、退職届にせよ退職願にせよ、どちらも会社が受け取り自体を拒否することはできません。労働者が退職したいと申し出ているのに、それを拒否することはできないのです。最初から退職届や退職願を突っぱねることは、労働者の人権に関わる重大な問題だと言えます。

退職の意思はいつまでに伝えれば良い?

法律では、雇用契約は解約の申し入れから2週間の経過によって終了するとされています。つまり、労働者は退職をしたいと考えている日の2週間前までに退職の意思を伝えれば良いということになります。

ですが、前述のように、就業規則で特例が定められている場合はこれに限りませんから、確認しておく必要があるでしょう。例えば就業規則で、退職を申し出る場合は3週間前に相談するようにとの定めがあったとすれば、それに従わなくてはなりません。

しかし、その規則に則っても退職を拒否された場合は、就業規則と法律の両方を盾にして抗議をすることができます。ですから、一度退職を拒否されたとしても諦める必要は全くありません。

有期労働契約の場合は退職を拒否されたらどうする?

有期労働契約とは、派遣社員や契約社員などのあらかじめ契約期間が決められている労働者が雇用主と交わしている契約のことです。有期労働契約の場合は、基本的にはその契約期間内は契約を破棄することなく最後まで職務を完遂することが前提とされています。

契約社員の退職手続きで注意したいポイント5つ

よって、契約期間内に退職をするということは基本的に考えられていません。ですが、どうしても何らかの理由で退職をしたい場合に、それを拒否されたとしたら、話し合いの場を設けるしかないと言えます。

有期労働契約の場合は無期労働契約とは違い、ここまでは必ず働きます、という契約を交わしてしまっています。ですから、労働者側に少し分が悪いところがあります。ですが、事情があって退職をしたいと申し出ているのにも関わらず全く耳を貸さない雇用主に問題があることは確かです。

なぜ退職をしたいのか、どうしても退職を拒否するのか、といった話し合いから、この日までなら働けるがこの日までには退職したい、といった条件の擦り合わせなどを試みましょう。

有期労働契約者が実際に契約を解除するなら?

契約と書かれた紙を破くスーツ姿の男性

また、1年を超える有期労働契約者は、契約初日から1年を経過すれば、労働者はいつでも契約を解除するための申し出をすることができます。ですから、自分の契約状況については常に確認しておく必要があるでしょう。

他にも、有期労働契約者はやむを得ない事情があればただちに契約を解除することができると定められています。この場合のやむを得ない事情とは、労働条件が事前に聞かされていたものと違っていた場合や、本人が怪我をしてしまったり、病気にかかってしまったりして、働くことができなくなってしまった場合のことを指します。

このような状況で契約を解除し、退職したいと申し出ても拒否されてしまった場合には、派遣会社などでそういったトラブルに対応してくれる部署に問い合わせる必要があります。仕事を紹介してくれた人に話を振っても問題が解決しないことがほとんどですから、退職に関しては上層部に掛け合うほかないでしょう。

退職を拒否されても諦める必要は全くない

退職を拒否されると、居心地が悪くてもこの会社に居続けなくてはいけないのかと諦めてしまう人も多いでしょう。ですが、泣き寝入りする必要は全くないのです。退職を拒否されても、自分の行動の仕方次第で突破口はいくらでもあります。勇気を出して、退職が実現できるように努力しましょう。