退職の理由が人間関係だった場合はどう伝えるといいのか
人間関係を理由に退職を決めるという人も少なくはないでしょう。ですが、それを正直に伝えてしまって良いのかどうかということは、踏みとどまって考えるべきです。円満に退職するためにも、人間関係について言及することについて深く考えておく必要があると言えます。退職の意を告げる際には、配慮しなければなりません。
退職の相談はどんな風に進めていくべきか
退職の相談はなるべくスムーズに進めていきたいところです。退職の理由が人間関係であるならば、それをどのように扱っていくかが重要な問題です。人間関係が原因での退職となると、どうしても良いイメージはありません。ですから、悪い印象を持たれることを回避するためにも受け答えの仕方には十分に注意しておきましょう。
自分が原因で退職すると思われてしまうような言い方はしないように気をつける
最も気をつけたいのは、自分が原因で人間関係が悪くなり、そのために退職しなければならなくなったと思われてしまう言い方をするということです。自分に落ち度があったために人間関係が気まずくなったり、やりにくくなったりして、結果的に居心地が悪くなって退職することにしたのだと思われると、持たれる印象は最悪であると言わざるを得ないでしょう。
この人が退職した後の人間関係はどうなってしまうのだろう、この人はどういった影響を及ぼしたのだろう、この人は何をしたのだろう、など、色々なことを勘繰られてしまいますし、何よりも自分は何もしていないにも関わらずそういったことを思われるのは気分が良くありません。ですが、言い方ひとつでそういった勘違いをされてしまうということもまた事実なのです。
自分が人間関係を悪くしてしまったり、この職場にはいづらいと思ったりしたから、などという理由で退職するのだと思われることがないように、言葉は慎重に選びましょう。
人間関係が理由で退職するのだとはっきりわかる言い方は避けよう
本当のところ、人間関係が理由で退職するのだとしても、それを正直に伝える必要はありません。むしろ、直接的に伝えることは避けるべきです。人間関係が嫌だから退職します、というのは身勝手にも聞こえますし、今の職場に不満があると言わんばかりの態度にしか受け取れません。心証が悪くなることは必至でしょう。
また、人間関係が原因で退職する道を選んだのだということを、もしも上司に気づかれてしまって、そうなのかと聞かれても、肯定することは控えましょう。人間関係が理由で退職するとなると、詮索されることは間違いありません。人間関係がうまくいかなかった、職場に馴染めなかった、と正直に伝えてしまうと、退職をしたいという強い意思が伝わらない可能性があります。
退職の理由に人間関係を挙げることでマイナスなイメージを持たせないようにしよう
退職の相談をする時に、上司にマイナスなイメージを持たれるのは避けたいというのは当然のことです。ですから、退職の理由には十分な配慮が必要なのですが、人間関係はその中でも最もデリケートな問題であると言えるでしょう。
人間関係が嫌だから退職したい、というマイナスな印象の退職理由を伝えるのではなく、なるべくポジティブな理由を考えましょう。「他にやりたい仕事が見つかった」「キャリアアップのために転職をしたいと考えている」など、なるべく職場の人間関係とは関係がなく、かつ印象が良い前向きなものが良いです。
そういう理由を話すことで、上司の興味を人間関係から引き離すことを意識してください。また、退職理由についてより深く尋ねられる可能性もあるので、どういった理由で退職をするのかということはきちんと考えておくべきです。
人間関係をリセットするからとか待遇を良くするからとか条件を言われても揺らがない
退職の相談をする際には、必ずと言って良いほど上司から引きとめにあいます。待遇を良くするとか、残業を減らすとか、その場では調子の良いことを言われて、それなら残ろうかなと気持ちが揺らいでしまうこともあるかもしれませんが、決してその餌に食いついてはいけません。
相談をした場で言われたことが実行されるという保証はありませんし、ほとんどの場合はまず実現されないでしょう。口車に乗せられて残留を決めるのは、向こうの思うつぼです。退職をしようとしたことが職場に広まってしまったら、居心地が悪くなってしまいますし、そのせいで更に人間関係に悪影響が及んでしまう可能性もあります。
それに、後で退職を再び申し出ることはなかなか難しいことです。そこでもまた引きとめにあってしまっては、人間関係はどんどん悪くなり、職場では肩身の狭い思いをしなければならなくなってしまいます。
退職の相談はあくまでも自分の意思を貫くことを意識しよう
人間関係が退職の理由だと、どうしてもそれが気になって及び腰になってしまうこともあるでしょう。ですが、退職をしたいという意思を上司に伝えることを諦めたり、緊張のあまり怖気づいたりしてはいけません。
確かに人間関係が退職の理由だということは、それを聞く上司にとってはネガティブな気持ちになるでしょう。ですが、相談の場で口ごもっていては本当に退職したいと考えているのかどうかわかってもらえません。
人間関係が理由であることを隠していることを引け目に感じていたとしても、自分が退職をしたいのだということだけはきちんとわかってもらう必要があります。そのことだけは常に意識して話し合うようにしてください。
転職先について聞かれた場合にはどのように答えれば良いのか?
退職の相談の場で、上司に転職先について聞かれた場合は、まだ決まっていませんと答えておくのが無難でしょう。本当に決まっていなくなっても、実は既に決まっていても、どちらでも決まっていないと答えておけば大抵は納得してもらえます。それに、そういった質問にわざわざ律儀に答える義務はありません。
それでも食い下がられた場合は、どういった業界か、くらいのことを大まかに答えておくくらいに留めておきましょう。詳しい会社名までを答えることはなるべく避けましょう。どこでその情報が広がってしまうかわかりませんし、自分の知らないところで個人情報が扱われるのはあまり良い気分がするものではありません。
人間関係が退職理由だった場合には、険悪な関係だった上司もいることもあるでしょう。そういった人にわざわざ自分のこれからの身の振り方を教える義理もないので、やはりやんわりと答えることを固辞しておくべきです。
引きとめにあったらどう対処すればいい?
人間関係が退職の理由であることを直接伝えられないとなると、引きとめにあう可能性は格段に上がります。キャリアアップを考えているといえば、うちの会社でもキャリアを積むことは十分できると言われてしまうこともあるでしょうし、やりたいことが他にできたと言えば、本当にやりたいことなのかどうか、もう少し落ち着いて考えてみてからでは遅くはないと言って引きとめられてしまうこともあります。
その上で更に待遇の改善をほのめかされてしまうと、なかなか円満退職をすることができなくなってしまいます。ですが、ここで痺れを切らして、本当の退職理由は人間関係の問題なのだと暴露してしまってはいけません。せっかく今まで黙っていたのに、実際は人間関係で悩んでいたのか、と知られてしまうと、更に強く引きとめられてしまう口実を与えてしまうことになってしまいます。
人間関係のことなら自分もサポートできるから、と上司に言われてしまっては、もう引きとめを断ることは難しくなってしまいます。まず人間関係が退職の理由であることを絶対に知られないことを第一に考えましょう。その上で、自分が本当にキャリアアップをしたい、他の仕事に踏み出したい、といった前向きな気持ちを持っているのだということを伝えてください。
退職の意思が確実なら手続きを正しく踏むことが何よりも大切である
退職の意思が固まったら、それを会社側に伝えなければなりません。ですが、この時に正しい手順を踏まなければトラブルを引き起こしてしまう可能性があります。自分は退職をするということで頭がいっぱいになってしまっていて、余裕が持てなくなってしまうこともあるでしょうが、周囲に配慮することも忘れないようにしましょう。
退職の相談は一番初めに直属の上司にしよう
退職の相談は、誰よりも先に直属の上司にしなければなりません。もっと上の立場の人に相談した方が良いのだろうか、と思うこともあるかもしれませんが、それは直属の上司にとってはとても不都合なことばかりを引き起こしてしまいます。
自分に話が行き届いていないのに、知らないところで退職の話が進んでいたら上司は困惑してしまいますし、良い気分にはなりません。どうして最初に自分のところに相談に来なかったのか、と問い詰められてしまっても仕方はないと言えるでしょう。ですから、そういった事態を避けるためにも、まずは直属の上司に相談をして、詳しい話をしていくようにしてください。
退職の話は同僚にはしないようにするべき
退職をしたいという気持ちが強ければ強いほど、同僚にはその話をしない方が賢明であると言えます。もちろん軽い気持ちで、最近仕事がつらいから会社を辞めたいと思うな、くらいのことを日常的に話すことはあるでしょう。ですが、実際に退職をすると決めているのであれば、真剣に相談するようなことは避けるべきです。
ましてや、理由が人間関係であるのであればなおさらです。職場の人間関係が嫌だ、人間関係に悩んでいる、だから退職したい、といった話を聞かされて嫌な気分にならない同僚はいないでしょう。それに、その話を口外されないという保証はどこにもありません。次の日から既に職場の全員がその話を知っていた、などということもあり得るのです。
ですから、自分の身を守るためにも退職の相談や人間関係での深刻な話は同僚にしない方が良いと言えます。自分が退職した後の同僚たちに、嫌な思いをさせないようにするという配慮もきちんとしておきましょう。
上司に退職の相談をする時は二人きりで話すようにしよう
上司に退職の相談をする時には、必ず二人だけで話せるようにしましょう。職場でいつも通りに話し始めてしまうと、周りの人たちに聞かれてしまいますし、何よりも落ち着いて話し合うことができません。
腰を据えて詳しい話をするためにも、会議室やパーテーションなどで区切ってあるブースを利用して話せるようにしてください。退職の理由が人間関係である場合は、特に同僚など周囲の人に聞かれることを避けたいところです。できれば、扉が閉まるきちんとした個室の方が気分的に落ち着いて話せるでしょう。
退職の相談は必ず口頭でするようにしよう
退職の相談をする時は、メールやLINEなどの文面だけで済ませることがないようにしましょう。人間関係が理由となると、少し話しにくいと考えることもあるでしょうが、勇気を出して面と向かって話すようにしましょう。
文面だけだと細かいニュアンスが伝わりにくいため、ぶっきらぼうな言い方に受け取られてしまったりして、本当に人間関係に大きな不満を抱えているために退職したいと考えているのかと思われてしまう可能性もあります。
お互いの表情や話し方などは話し合いの場ではとても大切な要因なので、相談をするにはやはり直接会って話すのが一番良いでしょう。
退職の相談をする前には必ず事前にアポをとっておこう
上司に退職の相談をする時には、いきなり声をかけてはいけません。上司の都合を考えて、メールなどであらかじめ何時ごろなら話し合いの場が持てるのかを聞いておくのが良いでしょう。この時点では、上司の都合に合わせて行動するようにしてください。
外回りなどが多い場合は、日中の業務内ではなかなか時間がとれないこともあるでしょうし、そもそも業務時間内にそういった個人的な話し合いをすること自体を好まない人も多くいます。ですから、相談するのは業務時間外になることがほとんどでしょう。どちらにせよ、ゆっくり時間をとってくれることについて必ず約束しておいてもらいましょう。
人間関係が理由で退職する時は慎重に言葉を選ぼう
退職をする時には必ず上司と相談をすることになりますが、その理由を説明するのはなかなか難しいものです。特に人間関係が原因である場合は、できるなら何も言わずに退職できれば良いと思えるほどでしょう。ですが、言葉を選び、考えを巡らせることで、何とか円満退職にこぎつけるように努力していきましょう。