退職届の書き方を覚えよう
退職届を作成する際には、予め決まった書き方やルールが存在します。
もちろん、退職の理由は人それぞれであり、自分の気持ちに任せたオリジナリティ溢れる内容の退職届を作成することもできますが、退職届はあまり個性やオリジナリティを出すところではないので、あくまでもビジネスライクな内容でスッキリ&シンプルな退職届にしておきましょう。
ここでは、社会人としての退職届の書き方や記入する際に気を付けておきたいポイントをご紹介します。
退職を決めたなら退職届を提出しましょう
「会社を辞めるときには退職届を提出してから…」なんて誰もがボンヤリとは知っていること。
しかし、退職届の提出はそもそも義務なのでしょうか?
学生時代にバイトを辞めたときみたいに、口頭で「来月から忙しいので辞めさせて頂きます」というような退職の仕方は、社会人になると通用しないのでしょうか?
勤めている会社の大きい小さい・上司との関係性・退職の理由によっては、この退職届が自分の意思を表示以上に大切な役割を果たすものとなることも?
退職は口頭のやり取りでも成立する
勤めている職場を辞めたいとき、法律上では口頭でも退職の意思を伝えて了承をもらえれば退職は成立することになっています。
しかし、人によっては退職の原因が会社側にあったり、退職の意思を伝えた後に人間関係が悪くなったり…どんな展開が待っているか分かりません。
今までは上手くいっていたのに、退職が決まってからなぜか辞めるに辞められないような状況に陥ってしまう人だっているのです。そんなときに、私たちの意思表示を貫いてくれるのが退職届の存在です。
退職届があると退職トラブルがあっても大丈夫
会社側からギリギリになって「退職はやっぱりなしにしてくれない?」「もうちょっと退職の期限を延ばしてくれない?」なんてトラブルは結構起こり得ること。ましてや口頭での約束であった場合には、「退職なんて話聞いていない」と言われてしまえば自分の発言を証明することはとても難しいのではないでしょうか?
そんなトラブルにも強いのが書面上での約束です。万が一のトラブルを回避するための書類、それこそが退職届に託された威力です。
「退職届」と「退職願」は使い分けが必要
「退職届」を会社・企業に提出したらスッキリ・キッパリ離職できるわけではありません。就職活動を経て苦労した就職内定、辞めるときだって何かとセンシブルな問題がついて回ります。
何といっても今までお世話になった会社、できる限り円満な退職を実現させたいものですよね。しかし、会社を辞める理由というのは人それぞれ。感情的にならずにはいられない事情を抱えている人もいらっしゃいます。
このように人によって千差万別な退職理由ですが、あくまでも一社会人として最後の最後まで常識ある行動を取りたいものです。そこで重要となってくるのが「退職届」と「退職願」の使い分けです。
一見、響きも似ていて同じような意味合いがあると思われがちなこの2つ。根本的な違いや使い分けを知っておくだけで、あなたの退職をよりスムーズかつ平和的に進めることができますよ。
「退職届」の特徴
・退職が実際に確定してから提出するもの
・何が何でも退職したい・一方的な会社への告知書類
・一度提出すると取り下げることが難しい
退職届は、最終的に退職が成立したときに出すものなので、会社側に引き留められる可能性があったり、是が非でも辞めたいときに提出するかなり効力の強い書類であります。
「退職願」の特徴
・退職する意思があることを会社に知らせる書類
・提出後も取り下げは可能
・円満的に会社と退職交渉をしたい意思表示
一方で退職願は退職する意思表示をした後に、会社側の出方によっては退職を取り下げようかな…というときにも使える書類。自分も会社側にも考える余地を与えるものなので、波風をできるだけ立てずに退職したい人は退職願から提出するのがベター。
ちなみに、テレビドラマなどで目にする「辞表」は、会社の社長・役員・管理職に就いている人や公務員の人たちが提出するもの。あくまでも雇われている側の従業員は、退職願または退職届を提出するのが一般的であります。
退職届を作成するときのポイント
退職届は基本的には便箋にペンで書く手書きが好印象
退職届を作成する際には、手書きの方がパソコンを使うよりも気持ちが会社側にも伝わりやすいためか、便箋に黒ペンでしたためるのが暗黙の了解であります。
手書きに自信がない人でも、退職届に記す内容は意外と少ないので、ゆっくりじっくり丁寧に向き合ってみましょう。ちなみに、縦書きが一般的。
便箋・用紙の種類・サイズ
退職届を作成する用紙のサイズは、大きくてもA4サイズ。それかB5サイズの便箋でも良いでしょう。あまりに大き過ぎたり小ぶりなものは、退職届を記入した後で読みづらくなってしまうので注意。無地の用紙が使いやすいですが、和紙の模様が薄っすら入っているものや縦or横の罫線があるものでもOKです。
会社側に退職届・指定フォーマットがある場合も
退職届を作成する際には、会社側に指定フォーマットやテンプレートが存在する場合もあります。ある場合にはそちらを使用、パソコン作成がOKな場合にはネット上にあるテンプレートなどを利用することもできます。(…が社風に沿っておきたいところ。手書きが望ましいときは、ネット上のテンプレートは書き方の参考などに活用しましょう)
使うペンの種類・色
退職届を書く際に使用するペンの色は黒で統一しましょう。
字に自信がある人は筆ペンや万年筆を使っても◎ですが、文字がボヤけてしまったりインクが広がって用紙が全体的に汚れてしまうと書き直しとなりますので、普通の書きやすいボールペンが無難です。
退職する意思を書類上で約束する証拠にもなるため、消える可能性を懸念して鉛筆や書いたあともインクが熱で消えてしまうタイプのペンは使用を控えましょう。
退職届の書き方・記入すべきこと
退職届に記入するべき大切なことは以下の通りです。
退職する理由が色々あったとしても、退職届に記入することは至ってシンプル・ビジネスライクに抑えるため便箋一枚にまとめます。
縦書きと横書きで記入する内容の順番が微妙に前後するので、その違いやそれぞれのポイントをチェックしていきましょう。
サンプル例文
縦書きの退職届の場合
1.「退職届」・・・一行目、右最初の行中央に記入(一行開ける)
2.「私事、」・・・二行目、一番下に記入(改行)
3.退職理由を記入・・・三行目
「私事、」、上部より書き始め適当な場所で段落替え(一行開ける)
退職理由・文例
「私事、(前行の下部に記入)この度は、一身上の都合により、令和○年○月○日をもちまして、退職致したくここにお願い申し上げます。」
退職理由は「一身上の都合」がお約束!
退職理由は人それぞれ。何行にも渡って自分が会社を辞める理由・原因を綴りたい人だっているでしょう。しかし、退職届に記入する理由は、どんな理由であれ「一身上の都合」とするのがルールです。
4.退職届の提出日時・自分の部署・氏名
日付は退職届を提出する日を記入します。
「令和○年○月○日(改行)営業部(改行)田中 重雄」(改行・一行開ける)
日付・部署名・名前は、それぞれ改行しますが、日付は便箋上部より記入し、部署名は日付よりも低い中央上部に、氏名はその部署名よりも低い中央~下部に来るようにバランスよく配置しましょう。
5.印鑑
自分の名前の下に印鑑を押します。
印鑑の種類は、「朱肉を使うタイプのもの」を使用します。スタンプ印はNGですよ!
6.宛名・正式な会社名称と代表者名
会社の名称は、省略せずに正式名を記入し改行します。
代表者名は社長の名前に「様or殿」を付けましょう。
会社の名称を記入し改行をしたら社長の名前を記入しますが、その際に、目上の方なので自分の名前よりも上にくる位置に記入するよう配置しましょう。
横書きの退職届の場合
1.退職届
便箋の上部・中央にくるように記入(改行・一行開ける)
2.退職届を提出する日付
二行目、右端に寄せて提出する日付を記入(改行・一行開ける)
3.宛名・会社の正式名称と代表者名
左側に配置し改行します。
会社名と代表者名は二行に分けて記入しましょう。(改行・一行開ける)
4.自分の所属部署と氏名
右寄り・提出日付と同じ右配置+「3」の宛名よりも低い位置に記入します。
部署名と氏名は二行に分けて記入します。(改行・2、3行開ける)
5.自分の名前の横に印鑑
にじまないように他の用紙などで試し押しをしましょう。
印鑑を押した後は、ティッシュなどで上から抑えて!
6.「私事、」
自分の氏名と同じ右配置・右寄りに記入(改行)
7.退職の理由
左寄りから記入し始め、適当な場所で改行します。(改行・2~3行開ける)
8.「以上」
最後に右寄せで記入します。
退職届は便箋一枚に収まります。したがって、記入する際には全体のバランスを見ながらそれぞれの配置に気を配りましょう。
見本ダウンロード
就業規則による決まりが無ければ、退職届は手書きでもパソコン作成でも構いません。また、縦書き・横書きのどちらでも構いません。手書きのほうがパソコンよりもかしこまっていますし、縦書きのほうが横書きよりも畏まったものになります。不安があれば、上司か人事担当の方に確認をとりましょう。尚、パソコン作成でも署名は手書きで行なえば多少、畏まった印象になります。また、捺印は必須ですので必ず行ないましょう。
退職届を入れる封筒・サイズや種類のルール
意外と気が回らないのが退職届を入れる封筒です。
細かいことではありますが、こちらも退職届を提出する際に知っておきたいルールがあるので、必ずチェックしておきましょう。
封筒の種類は角の立たない白縦長封筒
退職届を入れる封筒は、真っ白な「角が立たない」封筒をチョイスしましょう。
キャラクターや模様がプリントされたものはもちろん、色付き・茶封筒などは避けるように。種類としては、白色二重封筒が退職届という大事な書類を入れるのにふさわしく、できれば郵便番号枠が無いものが理想的です。
封筒のサイズは用紙によって使い分ける
退職届を作成する用紙によってそれを入れる封筒のサイズも変わってきます。
A4の用紙を使用するなら長形3号・A5の用紙なら長形4号で、いずれも用紙を三つ折りにして封入します。履歴書のように用紙を折らずに入れることができる角型3号サイズの封筒もありますが、あくまでもスマートに退職届を提出できるようスリムな縦長い長形封筒が渡しやすくもあり胸ポケットにも入る便利なサイズです。
封筒に記入するのは「退職届」「自分の名前」
退職届を入れる封筒には、「退職届」と「自分の部署名・氏名」のみを記入します。記入する位置については以下を参考に。
- 封筒表:封筒中央部上寄りに「退職届」
- 封筒裏:封筒左側・下部に自分の部署(改行)と氏名
ルールに沿った退職届を作成して円満退社を
退職と言っても、その理由や退職に至るまでのストーリーは人それぞれ。しかし、辞めるときこそスマートかつビジネスライクな大人としての振る舞いが社会人には試されます。理由はどうであれ、円満にお世話になった会社を後にできるよう、ルールに基づいた退職届の作成を心がけましょう!